しょうちゃんの科学ニュース~
しょうちゃんの科学ニュース~
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今月に入ってノーベル賞のニュースが連日続いてますね。
 受賞されたみなさま、おめでとうございます。
 日本人も二人、そのなかに入りました。
 なので、今日はそのお二人がなぜノーベル賞に選ばれたのか、を簡単にご説明し
 たいと 思います。
お一人目はノーベル生理学・医学賞に選ばれた、大村智博士。
 大村博士のすばらしいお人柄、経歴については、新聞テレビその他でご覧いただ
 くとし て、ここでは受賞理由をご説明したいと思います。
 大村博士の受賞理由は
 「寄生虫感染症に対する新治療法の開発に対する功績」
 です。
 大村博士は、人間の目には見えない小さな生き物「微生物」から、寄生虫を殺す
 物質を 発見したのです。
 微生物にはたくさんの種類がいますが、大村博士はそのなかの「放線菌」という
 グルー プに分類される、ストレプトマイセス アベルミチリス
 (/Streptomyces avermitilis/)という名 前の生物から、ある抗生物質を見つ
 けました。
 そして、その物質には寄生虫を殺す効果があることを、アメリカのウイリアム・
 キャン ベル博士がつきとめ、アベルメクチンという名前をつけたのです。
 このアベルメクチンが、より効き目のある物質(イベルメクチン)に改良され、
 薬とな りました。
 なのでキャンベル博士も2015年のノーベル賞を受賞されています。
 その薬は失明の危機や感染症の苦しみから、アフリカや中南米を中心に何億人も
 の人々 を救いました。
 大村博士は、インタビューで
 「いろいろと微生物に勉強させてもらいました。私より微生物に賞をあげること
 ができ れば……」
 という趣旨のお話をされたそうです。
 大村教授にはまるで及びませんが、同じく微生物から勉強させていただいている
 者とし て、心から共感できる言葉でした。
 放線菌は、さまざまな抗生物質の宝庫として、以前からよく知られていますの
 で、新た な薬効成分を探す対象として、いまでも注目され続けています。
 雨上がりに散歩しているときに、土の匂いがしてきた、という経験はありませんか?
 あの匂いを出しているのが主に放線菌です。
 なので、より、土の匂いがする場所には、たくさんの放線菌がいるということに
 なりま す。
 案外身近なところに、役に立つ微生物がいるものなんですね。

