かん子の連載

物語が読めなくなっている……。

物語が読めなくなっている……。
いまに始まったことじゃないけど、この三年ほど、ものすごい急カーブで読めなさが進んでいる気がする。
物語しか読まない子どもだったのに、いま読んでるのはリアル系の本ばかりだ。
もちろん、小説はダメになった、といわれ始めたのはかれこれ20世紀始めなのだから、すでに100年はたってるわけだ。
小説はそのあと、ミステリ、ハードボイルド、ファンタジー、SF、とさまざまなニュージャンルを考えて生き延びてきた。
でも、日常を書いた物語はマーガレット・ドリブルあたりの、1950年代で底をついた気がする。
その手の物語の正当な跡継ぎは児童文学だったのだといま振り返ってみれば思う。ファンタジーでも、ミステリーでもホラーでもない、日常を描いた物語はーー。
大人の世界では、もうそれはできなくなったのだ。
でも、それもとうとう力が尽きたのだと思う。
ある意味、50年もよく頑張ったのだ。

だが、人間は物語なしでは生きられない。
新しい枠組み、新しい手法が必要なのだと思う。
ただし、それが村上春樹だとは、思えないのだが……。

でも、マンガは成功してるな、と思う。
「進撃の巨人」だって「三月のライオン」だって「銀の匙」だって、みんな見事に物語ることに成功している。
それと活字の違いは何なのだろうか……?
ただ単に、いまの書き手の腕が悪いだけ?
それだけとは思えないのだが……。