かん子の連載

40000年前、ネアンデルタール人が絶滅した。

40000年前、ネアンデルタール人が絶滅した。
ということは、それまでは生きていた、ということになる。
たった40000年前の世界に行くことができれば、ホモ・サピエンス以外の人類を見ることができるのだ。
地球の48億年の歴史を考えれば、40000年前なんて、きのうのようなものだ。
20000年かそこらあたりから、ホモ・サピエンスは定着して暮らし始めた。
猿は巣穴を作らないほ乳類である。
猿の仲間は、放浪が当たり前で、家には住まないものなのだ。
ホモ・サピエンスのなかでもつい100年前あたりまでは放浪する民族がいたのだから、人間は家に住むものだ、になったのはごく最近だ、ということになる。
5000年前、ホモ・サピエンスは文字を創造した。
そのときには、すでに法律のように抽象的なものを書けたわけだから、言語そのものはもっとはるか以前に獲得していたのだろう。
数字、の概念を作り、目に見えないものを具体化して思考できるようになったのが2600年前……すべてのものは原子からできている、に考え至ったのは2300年前……。
自分たちがいる大地が、空にある星と同じもので、空中に浮かんでいて動いている、と言い出したのもそのあたり……。
いっぺんつぶされて再浮上したのが500年前……。
地球以外の天体に始めて行ったのが45年前……。
ライト兄弟がおずおず100メートルだか飛んだのが100年ちょい前……そこから、コンコルドまで、60年かからなかった……。
こうして考えると、ホモ・サピエンスはなにか、生き急いでいるようにも見える。