かん子の連載

私の恩師シリーズ 2

私の恩師2

は、法政大学の教授だった駒尺喜美先生である。
駒尺さんは早い頃からレズビアンであることを公言し、斬新な芥川論、夏目論、高村光太郎論を書いていた。
私がそのとき聞いたのは高村光太郎論で、智恵子が狂ったのは光太郎のせい……そして光太郎もそれを充分に承知していたのだ、というものだった。
二人ともプロの表現者だったが、コンビニもファストフードもない時代、金持ちなら別だがそうでなければ着物は洗い張りしなければならないし、ご飯も三食作らなければならない……。
光太郎が大事だと思えば智恵子には創作をする時間がない……。光太郎はそれを知っていたのに自分が作りたいばっかりに見て見ぬふりをしたのだ。
なーにが愛の詩なものか!
である。
智恵子は狂ってようやく自由になれたのだ。
という解説であった。
ひぇぇぇ~、そーんなこと、いっちゃってもいいんだぁ~、確かにそうなんだけどさ、であった。
そういえば、平塚らいてうはダンナと一緒に一膳飯屋でご飯を食べていてそしられていたっけな、だ。
その頃、そんなことするおなごは、いなかったのだ。
でも、仕事してたらご飯なんて作ってられない!と思うときあるよね?
金があったら……智恵子の不幸は避けられたのか?
と思うと少し切ない……。