かん子の連載

引っ越し

引っ越しをしているが、実に大変である……。
なんでこんなにものがあるんだろう?
というくらい、荷物がある。
で、やってるうちに、これは私だけの問題ではなくて、いまの日本全部の問題だ、と思えてきた。

私のところが片づけば、次は親の家の片づけがある。
人間、死んだら、すべてのものをあとに残していかなければならないが、あとに残る人がたくさんいて、ものが少なかった時代には引き取り手に困ることはなかったのだろう。
みんな次の人に使われて役に立っただろね。
でもいまはだれも引き取ってくれないだろう服や家財道具がごろごろ……。
一つ一つの道具がまた、安っぽくなったので捨てるしかないし……。

それに、本……。
子どものときは、本が使えなくなるときがくるなんて予想もしてなかった……。
本は大事、で長持ちするものだ、と思ってた。
でも今回、黄ばんだ古い活版印刷の本を見て、本当にこれは読めなくなったのを実感した。
学術的な内容ならともかくクイーンやクリスティーじゃねぇ。
何十回も読んだ本たちだから愛着はあるけど、どうしようもないよ……。
二段組の小説なんてのも、無理だしね。

で、いま、というか、これから日本中がそうなんだろな、と思う。
人間が少なくなっていってだれも受け継ぐ者はいないのだから。
片づけるひとがいればまだいいほうで、片づけるひとがいないうちもたくさんあるんだろうな、だ。

まあ、私はお年寄りに写真も捨てろ、とは思わない(過去は大切だ)が、急に片付けなければならなくなったら選別なんてしてられない。

一ヶ月に一つずつくらい、今月はここの押し入れ……みたいに決めて、服はあそこに、使ってないタオルはあそこに……といって送りながら片付けていかないと、使えるものもみなゴミになってしまう。

みなさん、さきのばしにしてないで、ちゃんとやったほうがいいですよ?
ホント、大変なんですから……。