かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 9 本気の怒り

本気の怒り   by katoyama

その時ほど、本気で怒ったかん子さんを見たことはない。
かん子さんを囲んだ教育委員会主催の懇親会での出来事。
その方は、去る図書館の女性館長で、教員時代は作文の指導者として名の知れた人だった。
『もうぜったい うさちゃんて よばないで』G・ソロタレフ作・絵 末松氷海子訳(リブりオ出版刊)の本を話題にして
「あの本に出てくるうさぎの子は、銀行強盗などして、子どもの本としていかがなものか?」
と、得々と(間違いなくそう見えた)おっしゃった。
「あれは極上本だよ。そこまでしなければならないほど追い詰められた子どもの気持ちに気づいてあげられないなんて、教育者がそんなことでどうするの!」
語気は敢えて押さえていたけれど、かん子さんの表情はとても厳しかった。
かん子さんが、どれほど本気で子どものことを考えているかを思い知らされた忘れられない出来事だった。