かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 14 学芸会を見て歩いて

14 学芸会を見て歩いて   by M.K

ある時赤木さんがおっしゃった
「ストーリーテリングも読み聞かせも、おはなし会って、下手するとおばさんたちの学芸会だよね」
という言葉が、耳から離れなくなった。
現場は実際にはどうなのだろうか?
学芸会の意味をこの目で確かめて見なくてはと思った。
東京や仙台など、仕事で出かけた先で、できるだけお話し会を見て回ることにした。

中でも、特に勉強になったのは、郡山で開催された絵本ワールドだった。
二日間で20以上の団体のおはなし会を見ることができた。
面白くなければ、子どもがすぐにその場を離れられる設定になっていたので、見ていて気づかされることばかりだった。
最後には子どもが残らなかったのもあったし、終わってからも子どもたちがその場を離れないのもあった。
当たり前だけど、練習不足で、おはなしをものにしていないところには、子どもたちは残っていなかった。
在野にも、ずっと見ていたくなるような芸能人キャラの人が存在することもわかった。
短い時間で、次々人が入れ替わるのは、集中力が途切れるということも理解できた。
人が変わると子どもが出ていってしまうからだ。
大人ですら気持ちに仕切り直しが必要で、辛いなあと感じた。
おはなし会=自分たちの成果を、子どもたちの前で発表する会=学芸会
通算で、30以上のおはなし会を見せてもらい、赤木さんの言葉が腑に落ちた。

朗読を学び始めた人が、テープに吹き込まれた自分の声を聞いた時
「え~っ!嫌~、私の声ってこんな声なの~?」
とショックを受ける人が多いと聞く。
それを考えると、おはなし会は自分の姿が見えないからやっていられるのかも……と思い当たった。
のちに赤木さんが
「誰だって、自分が楽しいと思ってやっていることを、人からとやかく言われたくないでしょう?」
とおっしゃった言葉に納得しつつも
『学芸会』
を他山の石にしようと、未だ肝に銘じる日々である。