【赤木かん子還暦おめでとう企画】 19 一本の幹
19 一本の幹 by 石原ゆみ
小学校で読み聞かせボランティアを始めた頃、かん子さんの本に出会った。
自分の子どもに読み聞かせはしてきたが、もっといろいろな本を知りたいと思って手に取ったのが『絵本・子どもの本総解説』。
その「はじめに」と「おわりに」を読んで、胸が熱くなった。
この著者は常に子どもの側にいる、と思った。
代弁者だ。
そして、子どもを取り巻く読書環境 (学校図書館の現実など)への警鐘を読んで、何度もうんうん、と頷いた。
会ってみたい。直にお話が聞きたい。
その後、思いが叶い、数々のことを教えてもらった。
中でも、子どもたちに百科事典の使い方を知ってもらう事の大切さに共感し、講座を何回か受けた。
何度聞いても魅力的で、新しい発見があった。
それから7年、毎年小学校の授業や公共図書館の講座で、子ども達に百科事典の使い方のお話をしている。
一度、どんな風に話しているかを、かん子さんに見てもらった。
その時いわれた言葉が“一本の幹”……。
話す時は、まず真っ直ぐな一本の幹を立てなければならないという事……。
話がどこに行きつくのか、真っ直ぐにゴールをイメージして話さなければならない。
以来、何かを説明する時にはこのことを心掛けるようにしている。
学校でも公共図書館でも、面白そうな問題を用意して、子ども達に百科事典で答えを探してもらっている。
手伝ってくれた大人に
“こんなに皆が夢中で引くとは思わなかった。”
と言われたことがあった。
私は、毎回子ども達と
「知ることが楽しい」
という時間を共有している。
今では、百科事典の魅力を伝えることが自分の喜びにもなっている。
話し方だけではない。
活動する上での一本の太い幹をもらったのだと思う。