かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 20 読書活動推進の道しるべ

20 読書活動推進の道しるべ   by 足利市立御厨小学校長 村山哲也

かん子さんの話は、いつも刺激的で感動的で新しい発見があります。
小学校で子どもの読書活動を考える我々にとって、それは、大きな道しるべとなっています。
図書館改造という果てしない道のりも、かん子さんのさわやかで、そして力強いお導きがあったからこそと感謝の気持ちで一杯です。
子どもたちへの大きな愛で満ちあふれているかん子さん。
今後も、ご指導をよろしくお願いいたします。

足利市立御厨小学校長 村山哲也

●毛野南小学校の教育講演会にて
テーマは
「本の好きな子にさせる10の方法」……。

開口一番
「本の好きな子にする方法は、ありません。」
え~っ???
と思っていると
「なぜなら、子どもは本来本が大好きだからです。親や先生が本を嫌いにさせているのです。」

全員、納得でした……。

●小学校図書館教育研究会にて
○医者の国家試験に合格したとたんに、勉強を辞めてしまう医者に診てもらいたいと思う?
薬も病気も日々新しいものが発見され、紹介されていくのに、まったく勉強していない医者に診てもらう?
ありえないでしょ?
どんな仕事でも、なったからにはせめて定年までは、一生懸命勉強しなきゃまずいでしょう。
調べ学習が教科書に入ってきたけど、自分もやったことない、知らないことを教えるのはたぶん難しい……。
でも研修も、自分で独学するのもきつい……。
教えて欲しいと思っても、教えてくれる人も少ないしね……。
だから紙芝居を作ったんです。紙芝居なら、裏に書いてあることをだけだ読むだけで、子どもたちに伝えられますから……。
これを 3 年生までにやってくれると、 4 年生以降の調べ学習がとてもスムーズに行くのよ。

○明治の小学校は、日本の社会を支えていく従順な労働者を育てることが目標だった。だから、大事なことは遅刻しないこと、上の者に逆らわないこと。
自分の意見を言うことよりも先生の言うことをきちんと聞くほうが企業にとっては使いやすい労働者になるでしょう?でも、その後何年もたって状況が変わったのに、小学校は同じことをしている。いまの日本は、全員、労働者でなくて社長になることを求められているのに……。
世界で日本くらいじゃないでしょうか。大学生になっても自分の考えがはっきり言えないのはーー。

○人間の子供が物心つくのは 5 歳と言われてる。だから子どもは 6 年生でもせいぜいここ7 年間分しか記憶も経験もない。大人が、こんなことくらいわかっているだろう、とつい思っちゃうようなことでも、わかっていなかったりする……。
だから階段を昇るように、一段ずつ丁寧にクリアしたかどうか確認しながらステップアップさせなきゃいけないんです。

○大体、日本の児童書の出版社が成長しないのは学校のせいもあるよね。だってつまらない本を作っても学校は買ってくれるもの……。
シリーズ本なんて内容のひどいのがたくさんある。でも、そういう本を学校は買うし、買ってもたいていその先生はその本を見ない。だから使えないことに気がつかない。買ってから何年もたっているのに本を開くと、バリって言う音がしてはがきが落ちてきたりする……。
つまり、誰一人開けなかったってことですね。

○物語や小説を生まれつき好きで読む子どもの割合はせいぜい3%くらいだと思う。根っからの物語好きって……。
つまり六年生と五年生あわせて100人ずついる小学校なら、高学年の文学を読む子は六人くらいだっていう勘定になりますね……。

○読め読め、といっても、今の子どもに出せる小説はなかなか作れないんです。文学はいま、層が薄いの。いま本が豊かなのは自然科学と社会学です。
だから小学校では、自然科学系の美しく感動的な本をたくさん見せて世界を広げてやりたい。
すごーい、きれーい、カッコいい~!
科学はここからすべてが始まるんだから……。