かん子の連載

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(毎月一回の予定です)

ガーナのおすすめ本商会
『ソノリティ はじまりのうた』
著者・佐藤いつ子
KADOKAWA(4/20発売予定)

 今回紹介する本は、「ソノリティ はじまりのうた」というものです。
 この本は、恐れ多いことに、ゲラを読んで感想を聞かせてほしいと頼まれたもので、レビューを書くのもいつもより緊張しています。
著者は佐藤いつ子さんというかたで、調べてみると他にもヤングアダルトの系統のものをたくさん書いていらっしゃってて、私も図書館で読んだことあるかもしれない……という本が結構ありました!

 話のあらすじは、吹奏楽部なだけで合唱コンの指揮者に選ばれてしまった中学一年生の早紀が、最初は内気な性格なものの、指揮や歌声を通じてクラスメイト達と関わり成長していく……そんな青春真っ只中の話です。
 読み進めていくと早紀以外の登場人物のことについても詳しく分かり、いろんな気持ちになれます。
大人が読むとおそらく懐かしい気分になるだろう、そうして子どもが読むと共感できるような、憧れるような気分に……。
 クラスのなかで空気みたいな存在に思われていた早紀が指揮者になったことをきっかけに、みんなに認められて自分も変わっていったところは「この世の中に『ただの』で片付けられる人なんて居ない」そう思わせてくれました。
 今度中学生になる私が読むと時期の関係もあるのだと思いますが、毎日少しずつ人は変わっていって、その毎日が青春なんだな、なんて確認させてくれるような現実と重ね合わせて、卒業に少ししんみりしたり……。
主人公の早紀もそうだけれど誰でも認められたい!という気持ちがあって、恋したり、友情を築いたり……。
最終的に合唱コンの練習が終わってしまえば前に戻っちゃうのかな、とか思っていたら、早紀が呼び捨てで呼ばれたり、気づいた時にはクラス全員が団結して勝っても負けても良かったと思えるようになっているところに感動しました。
 指揮や歌声をきっかけに青春を築いた早紀。
自分に自信がない子でもこういう本に出会ったことをきっかけにできるような、そんな、人に大切にされる本だと思います。
青春とはサイダーみたいなもの。
最初は、爽やかだけど後味は甘ったるかったり、少し置いておくと炭酸が抜けていたり、そんな大事な青春のすべてが詰まっていました。
 いろんな人の手に渡っていってほしいです。

2022/04/21