かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 61 選書

選書   by ロゼッド・ストーン


自分ひとりだけに選書をまかされることの多い学校では、いったい何を基準に選べばいいのか、がいつも悩みのタネの一つでした。
そこでかん子さんの紹介されている本を選ぶようにしたのですが、かん子さんは「必ず実物を見て、自分の学校にあうか確認してね」といわれていて、最初はそんなに違うものかな、と思っていたのですが、やっているうちに自分の学校の子どもたちに人気の本でもほかの学校では人気がないこともあり、学校ごとに選書は微妙に違うんだな、ということを実感しました。
相手に合わせようと思えばよく観察しなくてはならず、合わせることは難しいと思いますが、うまくあったときには子どもたちはダイレクトに反応を返してくれるので大変やりがいがあります。


講座を受けたときに
「子どもたちと年齢差があるんだから、お客さん(=子ども達)に何が読みたいかは聞いて!」
といわれ、なるほど、と思い、それから子どもたちに少しずつ聞くようになりました。
最近、子どもたちから
「読みたい本がない」
という声もちらほら聞こえてきて、何を選べばいいのか悩むようになっていたのです。
そのとき、かん子さんが(サイトでほかの学校の方も実践されていたことを紹介されていたので)「リスト」を貼りだして、子どもたちに読みたい本に○をつけてもらうやりかたを教えてくれたので、試してみることにしました。
一番最初の「リスト」は、各出版社に電話をし、毎年出している各社の冊子を無料で送って頂き、冊子をだしていない出版社は、その出版社のHPから本の表紙をコピーし、リストをつくり、図書館前の廊下に掲示しました。 
始めるまでは、子どもたちにいたずらされて、リストにたくさん○をつけられて、遊ばれるのではと思って危惧していましたが、実際やってみると全然そんなことはなく、真剣な眼差しで食い入るようにリストを見ている子どもたちがたくさんいて、心の中で大変反省しました 。
かん子さんにそのことを伝えると
「子どもはいつだって真剣だよ。」
といわれました。
それまで、子どもたちとコミュニケーションをたくさん取りたいと絶えず声をかけていたつもりでしたが、リスト以降、子どもたちのほうから見つけて声を掛けてくれることが増えました。そのことを話すと、かん子さんには
「味方だと思ってもらえたんだよ。だから当たり前」といわれたのですが、教えていただくまで全然わからなかったです。
それから、年を重ねるごとに子どもたちから
「あの本がほしい」
「こんな本がほしい」
と直接言われることが多くなりました。
「リスト」も更新しながら続けていますが、文庫本はその「リスト」から、それ以外の本も
「あれがほしい」
といって教えてくれるようになりました。
「リスト」を貼り出すことがあんなにも有効だとは夢にも思いませんでした。