かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 62 愛情を溜めるコップ

愛情を溜めるコップ   ニンプス編集部 山見美穂子

「あのね、子どもはそれぞれ心に愛情を溜めるコップを持っているのね。そしてそのコップの大きさは子どもによって違うの。コップからあふれるくらい愛情をもらった子は親から自然と離れていくことができるけれど、そのコップが満たない子はね、いつまでも親から離れることができないんだよ。」

妊婦さん&ママ向けの絵本ガイドの打ち合わせ中。
“愛情を溜めるコップの大きさは子どもによって違うんだよ”
という言葉が胸に残りました。
自分自身の子育てでも、何度も何度も思い出しています。

その絵本ガイド『赤ちゃんが大好きな絵本』のコラムには
「赤ちゃんが読んでと言ったら読んで、やめてといったら読むのをやめる。
最初から最後まで読んであげる必要なんてないんです」
という一文があるのですが、この言葉にはっとした、気持ちがラクになったというママからの声が複数寄せられたのも記憶に残っています。

そういえば
「その子が幸福かどうかを考えてね」という言葉もときどき思い出します。探してみましたら『いつまでも好きでいてくれる?』(評論社)を紹介するコラムに
「しかもこのお母さんは、子どもを自分のものにしようとするのではなくて、子どもが幸福になるようにと願えるひとなのです。」
という一文がありました。そのコラムはこう続きます。
「本当に、小さな子どもを幸福にするのは難しいことではありません。抱っこして、ぎゅっとして、大好きだよっていってあげるだけで、子どもは幸福になるんですから」

当時は私自身の子どももまだ幼く、子どもが幸福になるようにと願うことも、抱っこしてぎゅっとして、大好きだよって言ってあげることもとっても簡単だったのですが、今は思春期のわが子を前に難しく感じるときも増え、子どもを支配しようとしている自分に気がつくことさえあります。

だからこそ繰り返し思い出しては、言葉の重みを感じる日々です。