かん子の連載

◆ お風呂でミステリ ◆ 第二回

・・・ 第二回 「アガサ・クリスティー短編集2」 ・・・

クリスティーは短編の名手です。
トリックの女王として知られているのでついそっちに目がいきがちですが、これを読むと文章そのものがうまいのだということがよくわかります。
東京創元推理文庫、のクリスティー短編集は五冊ありますが、この二巻めはロマンスがテーマ……。
どれにも恋人たちが登場し、ハッピーエンド……。
もちろんミステリーなんですよ。
果物屋で買ったさくらんぼのかごのなかから真っ赤なルビーのネックレスが出てきたり、誘拐事件あり、盗難事件あり、でもちゃんとひとひねりもふたひねりもしてあって、ええっ~、という結末が待っています。
どれも小粋でしゃれていてユーモアたっぷりで魅力的!
ぷらす、この翻訳が素晴らしく上手いのです。
同じ原文を与えられてもこうは訳せないよな、という素晴らしさ。

ただ、いまだに文字が小さいのよねぇ……。
これが東京東京創元推理文庫の唯一の欠点なんですが、ま、大人ならそれにはなんとか目をつぶれるでしょう。
これが何十年も前に書かれたとは思えない……。
日本語を読む楽しさにたっぷりと浸れる一冊です。

2017年06月13日