かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 74 「図書室改装、ときどき子育て相談」

「図書室改装、ときどき子育て相談」   by M

2015年の夏、校舎の片隅にあった薄暗い図書室が生まれ変わりました。

なんとなく心の準備はしていたものの、初めてカンコさんにお目にかかった時の軽い衝撃は、すぐに何かワクワクを感じさせるものに変わりました。
児童文学評論家という肩書きのカンコさんだったので、もっと、固いイメージでこちらから話しかけたり出来ないんじゃないか……と思っていました。
でも、お会いした時に、ヘアスタイル、パッチワークのようなかわいいパンツ、気さくな口調に、私達が想像していた方とまるっきり反対側のイメージで、みんな口を揃えてびっくりした❗と話していました
実は、その数年にカンコさんのプロデュースによって改装された図書室を訪れたことがありました。
図書室に入った途端、市松模様のカウンター、カラフルなポスター、迷路のような配置…に驚き、わくわく……。
でも、まさかその数年後に我が校にもそのチャンスが訪れるなんて、まったく想像していませんでした。

図書室改装が決定して直ぐに改装ボランティアを募集し、たくさんの保護者がカンコさんに会いたいという想いを携えて毎日毎日図書室に通い始めました。
毎回、なんの作業をしていてもいつか子育てお悩み相談に…
「カンコさん、うちの子全く本読みません、どうしたらいいですか?」
「カンコさん、うちの子、小説を読まないんです。漫画ばっかり…」
「カンコさん、男の子ってどう育てたらいいんでしょうか?…」

みんな、カンコさんからのアドバイスが欲しくて欲しくて、代わる代わるカンコさんを質問攻めにしていました。

「男の子は、放っておいていいんだよ、甘えて来たらあまえさせればいい、充分甘えたら自分で離れていくから」
「男子が小説読めるようになるのはたいてい中二からだよ?」
「リアル系の人はほぼ、小説は読まないよ?」
「本人が読みたくないなら読まなくていいじゃん」
「読み方教えないで読め、というのは、泳ぎ方を教えないで泳げ、というのとおなじだよ? 読んで欲しいなら読み方教えなきゃ」
「自分と他人を傷つけさえしなければ、子どもなんて何したっていいじゃん」
涙を流しながら、カンコさんの話を聞いてるお母さんもいました。

真っ白な本棚、宇宙をイメージさせる新聞コーナー、一人の読書時間を邪魔されない隠れ家的スペース、ゴロゴロしちゃえる絨毯とソファー、そしていつも元気に迎えてくれるカエル司書さん…。
子どもの目線で、子どもの気持ちになって、読んでみようかな、という気にさせてくれる図書室に生まれ変わり、現在子どもたちの憩いの場となっています。

本を通してたくさんの子どもたちを見てきたカンコさんと出会えた事は
「みんなありのままでいいじゃん」
という事を改めて教えてくれたかけがえのない時間でした。
カンコさん、本当にありがとうございました!
そして、これからもよろしくよろしくお願いいたします。