かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 78 「プロであれ」

「プロであれ」   by 洋野町立種市図書館 平 留美子

大学図書館を使う人はだいたいは「プロ」か「セミプロ」です……、という切り口で始まったかん子先生のお話……。
私は図書館に約20年間くらい勤めておりまして、長い間にはいろいろな図書館を見に行ったり、職員の方ともいろいろお付き合いさせていただきました。
図書館職員には「司書」資格を持った方々がいます。むしろ司書資格があるから図書館で働いているということではある……のですが、この「司書」さんたちは、自分たちは本の「プロ」であると思っています。
図書館の「プロ」だと思っています。
「プロ」の司書だと思っています。
ちなみに、わたしも司書資格ありです。
かん子先生のお話は、やがてこう続きます。
公共図書館に来るお客様(利用者)は、はじめは「プロ」でも「セミプロ」でもありません……と。
このように、かん子先生は、私たち公共図書館に勤める司書たちに問いかけます。あなたたちプロは(プロだったら)この初心者利用者たちにどうやって接するの?、どのようにプロの仕事をしたらいいかわかってるよね、もちろん……と、口に出さずに問いかけてきます。 とかく「プロ」という意識のある人たちは、自分たちの言葉だけで話そうとします。
専門用語というものをやたら使ったお便りや、原稿をよくみかけます。
自分たちだけの間ならそれでも良いのです。
ただ、中には「プロ」「セミプロ」ではないお客様に対しても、意気揚々と、専門用語で説明している図書館職員を見かけたりします。  
あなたは、その説明で、だれに、何を伝えたいの?
という、かん子先生の声がきこえてきそうです。
それじゃあ、何も伝わってないよ。
あなたは、図書館のプロとしての仕事が、できてないよ。
図書館職員は、お客様が求めている本を、たくさんの本の中から探し出してお客様に提供することができなければなりません。
そのためには、お客様が何を求めているか、しっかり理解することが大事です。そして
「当館にはこの本しかないので、これでいいですよね」
という回答もありえません。他館からも借りたり、自分、または館の力では足りないときは、正確な情報を得ることができる機関につないであげなくてはなりません。
それが、自称「プロ」の方々にはちょっとプライドがじゃましてなのか、プロじゃない人のことを想像できないのか、自分の仕事はここまでですと、線引きしているかたが、たまあにいます。
図書館はサービス業なんだよと、かん子先生の声がきこえてきそうです。  
かん子先生は最初は「司書」になりたかったと何かのおりに書かれていらっしゃいました。本が好きで、本に関係する仕事につきたいなと思った場合、司書をめざす人もいれば、作家になったり、出版社に勤めたり、編集の仕事をしたり様々なんだなと、かん子先生が出版業界のお話をしてくださった時に思いました。
そうしてなぜ、私は「司書」だったんだろうと……。
小さいころから本が好きで図書室の常連さんではありましたが、将来、本に関する仕事につきたいなと思ったことはなく、大学でたまたま司書資格をとり、たまたま当時の彼氏(現在の夫)と一緒に公務員試験を受けた結果、まんまと採用され、しかも、図書館に配属になりました。
大学で司書になりたくて資格をとり、自治体に採用されても、図書館に配属されないままの友人たちもたくさんいます。
昨年1年、病院に異動になり、いままで幸せだったんだなあとしみじみと思いました。
図書館でつちかったコミュニケーション力で、窓口で患者さんには評判が良く、図書館で培った好奇心探究心、人のお役に立ちたい一心で「メディカルフロントコンシャルジュ」という資格もとりました。
患者さんと、病院の各部署や、福祉機関、保健機関をつないでいくポジションの資格です。
が、窓口がにぎわいすぎたのか、図書館のユーザーでもある事務局長(上司)が病院では使えないなと判断したのかわかりませんが、1年後には、図書館に舞い戻ってきました。
図書館の利用者さんや、学校の先生、多くの方から
「おかえり!」
と声をかけてもらい、ほんとに自分はしあわせなんだなと思いました。
しっかり、みんなのお役にたちたいなと思いました。  そんな事件もあったりしていた中で、雫石図書館の藤澤さんという熱い図書館員さんのお誘いで、昨年、本物の赤木かん子先生にお会いすることができました。
「本物の」というのは、学生のころに図書館司書課程で、赤木かん子先生の本で勉強したことがありまして「本物にお会いした」
という感慨がありました。なるべくしてなる、いきつくべきところにいきつくというような言葉が浮かびました。  
学生だったころに本を通して一方的にですがお会いした赤木かん子先生に、図書館司書になってから、実際にお会いしていろいろ教えていただいたという経験は運命的であり、本がただただ大好きで、図書館に住みたいなあと思っていたころの自分を思い出しました。  かん子先生は、図書館職員には「プロであれ」と求めると思います。
「プロであること」とはどんなことか、自分の頭で考えながら、しっかり実現していける図書館員でありたいなと改めて思いました。  かん子先生がこの度60歳記念ということでお話をお聞きした時、先生って、ほんとに60歳?と思いました。
実物の先生は、おっしゃることが的を得ていて、はぎれが良くて、とってもお若いのです。
学生の時に本だけでお合いしていた時と印象が違って、人生っておもしろいなあと思いました。
結びになりましたが、先生、60歳おめでとうごさいます。
今後とも、よろしくお願いします。