かん子の連載

◆ お風呂でミステリ ◆ 第四回

・・・ 第四回 「ミス・マープルと13の謎」 ・・・

ポワロとパーカー・パイン氏を出したら、ミス・マープルを出さないわけにはいかないでしょう。
ミス・マープルの短編集「ミス・マープルと13の謎」は、これまた東京創元推理文庫がおすすめです。
翻訳がうまいんだ。
文字の書体デザインとサイズをいい加減変えてくれないかなぁ、とホント、思うよ。ほとんどの読者はもう老眼なんだからさ!

これの半分は“火曜クラブ”といって、みんなで夕御飯を食べたあと、のんびり一人ずつ謎のある話をし、あれこれいいあったあと、ミス・マープルがみごとに真相を言い当てる、という形式になっています。
そのメンバーの一人に警視総監のヘンリー・クリザリング卿がいてミス・マープルにすっかり感心し、あちこちの長編のなかで、現場の警部に、あのかたに話を聞きたまえ、などといってくれて応援してくれるわけですね。
語り口がうまいのですらすら読めるうえに、一つ一つ工夫を凝らしていて、隙のない、できのいい仕上がりの短編集なんです。
クリスティーはトリックの女王、みたいにいわれてるけど、こういうの読むと、とにかく文章がうまい、構成がうまい、という小説の名手だったんだなぁ、というのがわかるね。
読みごたえがあるのに楽に読めますよ。

2017年06月27日