かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 81 「子どもの本の探偵さん 赤木かん子の仕事術」

「子どもの本の探偵さん 赤木かん子の仕事術」   by ミヤザキアツコ

 かん子さんには公私ともにほんとーにお世話になっております。

 あれもこれもと書きたいのですが、今回は2002年の子ども読書年に高知市民図書館が開催した「子どもの本の探偵さん 赤木かん子の仕事術」と、それにまつわるもろもろのこと・・・を書いてみようと思います。
 
 あの頃のかん子さんは、子どもの本の探偵、書評、講演活動などに加えて棚づくりに力が入り始めたころだったと記憶しています。
ただ正直なところ、私にはかん子さんの仕事は何がメインなのかよくわからなくなっていました。
 
 そんなときに始まった子ども読書年!
かんこさんに講演をお願いしたい!
となったのはよいのですが
「テーマはどうするの?」
「いろいろ切り口はあるよね。」
と悩んだ末、
「いっそのこと『赤木かん子の仕事術』というタイトルで、これまでの仕事のことを全部お話していただくと絶対に面白いよね」ということになり、お願いいたしました。
 幸いにご快諾いただき、講演会の準備が始まりました。
 いまでも当時のファイルが残っていますが、手書きの決裁文書やお手紙、FAX用紙などが綴じられていて、メールがなかった時代によくぞこれだけまめなやり取りをしたものだ・・・と改めて驚いております。

 講演会当日は、本の探偵から始まる一連のお話しがとても面白く、新たな仕事は必然性があって始まるのだと納得したことを覚えています。
 仕事はわらしべ長者のよ うに続いていくのだ、と。
 以来、かん子さんが新しいことを始めると「おお!」と注目してしまいます。

 ところで、後援会の前後の日程で図書館職員向けの選書のワークショップや、分室の改装もありました。
最後はドライブがてらということで15館の分館分室のうち11館を一緒に回りました。
図書館が田んぼの中にあったり、海沿いにあったり(確か一部船で移動しました)町の中にあったり……だったので、最後の最後に車を降りたかん子さんが私の肩をぽん!と叩いて
「宮崎、高知は広いね!」
とおっしゃったことを覚えております。

 余談ですが、ある分室では
「ホラーコーナーを作った らいいよ!」
というかん子さんのアドバイスに
「どうやって見分けるんですか」
「背中が黒い本を集めてみて!」
というやり取りがあって、担当者が早速作ったのはいいのですが……ホラーコーナーが「ホーラーコーナー」になっていて、絶句。
まだ、ホラー小説がいまほど定着してなかったのです。
後日、東京に戻られたかん子さんからは手書きの「YA絵本リスト」のFAXが届きました。
小さな図書館をたくさん見て、YA絵本は別置したほうがいいよね?ということだったのだと思います。
私たちは
「どーしよー、手書きのリストもらっちゃっ たよー。無駄にせられんでねえ」
とちょっとびびりました。
そして私たちは、このリストをきっかけにYA絵本を掲載した「こだわりの絵本」ポスターと「はじめての絵本」ポスターを作ることになったのでした!

以上、資料と記憶を頼りに書いてみました。
面白い仕事は現場に残っていくものだなあと振り返っております。