かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 89 かん子さんとの出会い

かん子さんとの出会い   by ナガサキカステラ

まず、私と図書館との関わりは小学校のPTA役員をしていた頃に始まります。
ある日、校長先生から
「図書ボランティアを作ってくれない?」
というお話がありました。
その頃は、文部省が図書ボランティアを学校に置きましょう、と言い始めた頃でした。
ボランティアって自然発生的にできるもののはずでは?
と思ったものの、人柄の良い校長先生が困っているようだったので、つい
「良いですよ。」
と答えてしまいました。

引き受けた理由はもう1つあって、私はその小学校の卒業生で、その図書館は小学校の頃の私の居場所だったんです。
 でも、それからが大変でした。
司書はいないし、図書館のノウハウは無いしで、手探り状態に陥りました。
責任感だけは強い傾向のある(が、実力は無い)私は良い図書館を作りたい気持ちで、四六時中図書館のことを考えて本を読み漁りました。
その中に、かん子さんの著書があったのです。
なんだか、ストンと心に文章が入ってきたんです。
側で、かん子さんが話しているような語り口の文章が好きでした。
 いつか本人に会ってみたい。
でも写真で見るとパンクな人みたい。
私は専門用語もわからないし、論破されたらどうしよう……と好きすぎて、私にとっては会いたいのに会えない人でした。
 そうこうしている間に、小学校は図書館ボランティアが定着し、図書館が綺麗になり、その後ボランティアメンバーが司書資格を取って、その小学校に着任することになりました。
とても良い状態になったんです。
私は子どもの小学校卒業と同時にボランティアを卒業しました。
 それからは、縁があって子供の通う高校にボランティアとして参加しました。メンバーとの友達関係が楽しすぎて長居してしまい、子どもは卒業したのに活動していました。
そんな中で、生徒からレファレンスや相談を受けるようになって、本格的に勉強したいと考えるようになりました。
司書の勉強してみると、いかに自分が素人だったかを痛感しました。
2年かけて司書資格を取りました。
 そんな時、かん子さんが長崎に講演にやってきたので、ちょっと遠方だったけど片道2時間くらいかけて行きました。
その講演の中で、かん子さんは
「読み聞かせは自分の満足のためにするものじゃない。子どものためにするものだ。」
「自分の趣味を他人に押しつけてはいけない。自分が読みたい本ではなく、相手が読んで欲しい本を読もう」
「自分の居場所は別に作れ。」
と言ったんです。

私は至極真っ当なその発言につい笑ったんですが、会場はシーンとしていました。
そのなかでも
「自分の居場所は別に作れ」
私には、その時、その言葉が胸に刺さりました。

2年後、私は、公共図書館勤務を経て学校図書館の司書になりました。
 
その講演後、思い切ってかん子さんに声をかけ、大学の講義に誘っていただき、ご縁ができました。

ありがとう、かん子さん。おめでとう、かん子さん。これからも、よろしくお願いします。