かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 96 「子どもの幸福のためだよ」

「子どもの幸福のためだよ」   by 家族ぐるみでかん子ファンの 手登根千津子

かん子さんは「子どもの幸福のためだよ」とサラッと言った。

かん子さんとの出会いは、30数年前、子どもの本を語る講演会だった。
少年のような風貌で演台にちょこんと座り早口で語る本の話に衝撃を受けた。
頭の中で品ぞろえされた本が次々に紹介され、あっという間の2時間だった。

あれから子どもの本・子どもの現在・子どもの文化のことをかん子さんからたくさん教わってきた。また、子どもの立場にたち仕事をすることも学んだ。
徹底的にである。
子どもの目線で話をする。
本を紹介する。
図書館づくりをする。
それを意識して学校図書館で働く人はどれくらいいるだろうか。私自身もいまだに忘れてしまうのだ。それを思い出させてくれるのがかん子さんの存在なのである。

15年ほど前、生徒15人くらいと大人5人ほど総勢20名ほどで図書館づくりをしていた日のお昼の時間、かん子さんは1000円弁当、生徒は300円弁当であることに気づいたかん子さんは怒りだして「どうして弁当が違うの?私、食べない。」と言ったのである。「かん子さんの分は、PTA予算から出してもらったもの。生徒も了承してくれている。生徒は身内でかん子さんはお客様だから…。」などとたくさんの言い訳をしてやっと食べてもらった。そのとき、「大人・子ども」と区別している自分に気づいたのである。
 
かん子さんは子どもをよく知っている。社会はいまだ大人中心主義であるが、その中で子どもの立場を発言し続けているのがかん子さんだ。それが世の中の流れを変えたこともあっただろうと感じている。1つあげると、今では聞き慣れた言葉になったが、共依存という言葉である。かん子さんは親が子どもに対し過保護な扱いをすることを厳しく指摘していた。かん子さんのこれまでの活動で、日本中の子どもの環境がどれだけ良くなったことだろう。子どもの視点に立ち考えることのできる大人が増えてきたであろう。

子どもの立場を第1に考え発言するかん子さんにはいつも頭が下がる。子どものことに関しては、損得抜きにして、頑固に厳しく社会に発言し続けるかん子さんを見てきた。多分、たくさんのバッシングも受けた事だろうと思う。ある日、「かん子さんは、何のために頑張っているの?」と聞いたことがある。すると「子どもの幸福のためだよ」とサラッと一言……。

その言葉が心に染みた。  

還暦を迎えるかん子さん、おめでとう。そして、ありがとう。これからも仲良くしてください。お祝いにおいしいもの送るね(*^_^*)