かん子の連載

水曜日の歌 ♬~ 第八回

 第八回

分けいっても分けいっても青い山

山頭火の代表作の一つです。
表の意味は、山のなかをどこまでいっても山だよ、ですが、裏の意味は彼の心象風景です。
山頭火は、小さい子どもの時にお母さんが自殺するところを見ちゃって、以来壊れてしまった人でした。
裕福だった実家もつぶし、家も飛び出して放浪し、句を詠んでかろうじて命をつないでいる人でした。
分けいっても分けいっても山しかない、どこにも出られない絶望と焦りと孤独とを、たった17文字で表現した山頭火は凄いし、この句は日本の宝のひとつですが、それでもこの句を見るたびに胸が痛みます。

2017/07/26