LGBTQの本棚から 第35回「変わる社会と成人式と」
あけましておめでとうございます。
今年も本の紹介や、LGBTQ関係の話を書いていきたいと思いますので、よろしくおねがいします!
今回は本の紹介ではなく、ちょっとしたお話を……。
当事者だから書けることがあると思うので……。
昨年末に厚生労働省が
「性同一性障害の手術費用を保険適用の対象にする」方向で検討に入ったというニュースがトランスジェンダーのなかではかなり大きな話題になったのですが、ご存じですか?
僕の個人的意見をいえば、手術費用が保険適用になると、かなり助かります。
いままでは自費での治療だったので、100万円超えは当たり前で、国内ではなく海外(主にタイ)に手術を受けに行けば滞在費も含め、200万近い額が必要です。
親が裕福ならともかく、20代で社会に出たごく普通のサラリーマンが何年働いたら200万貯められるか……。
もし、国内で保険適用の対象になることができれば、トランスの手術事情は大きく変わるはずです。
ちょっと話はずれますが、僕は最近、改名をしました。
改名には色々な準備が必要で、診断書や、変えたい名前が周囲の人にどれだけ認知されているかを証明するものが必要です。
家庭裁判所に出向いて面談をしたりもしました。
でも名前を変えるのはまだ簡単なほうで、戸籍の性別を変えるとなると
①二人以上の医師による、性同一性障害であるという診断書
②20歳以上であること
③現に婚姻をしていないこと
④現に未成年の子がいないこと
⑤生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
⑥他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
という条件をクリアしなくてはなりません。
なかでも⑤と⑥は性転換手術を必要とするので、戸籍を変えるというのは、とてもハードルが高いのです。
そして、手術費用がそのハードルを上げる要因の1つであることは、間違いありません。
そのハードルが下がるのなら、頑張ってバイト代を貯めて
「社会に出る前に性別変更を終えて望む性別でスタート!」
とかができたりするんです!!
一度入った会社で途中から性別が変わるのもアリですが、周りがそれに対応してくれるかは未知数ですよね…。
せっかく頑張って入社して何年か勤めたのに、転職しなければならなくなったりするのはいまの時代、とても大変です。
それもそれがやりたい仕事なら特に……。
だからできればその前に望む性別に変えたい、と思う人も多かったはずですが、大多数の人にとってはいままではそんなのはただの夢
でした。
保険適用になればその夢にも手が届くようになるかもしれないのです。
あともう1つ、最近考えていたのが、この季節に行われる行事「成人式」について……。
何やら着物レンタル業者の件が騒ぎになってますが、それではなくて、成人式ってトランスにとってはとても参加するかどうかを悩む行事なのだってことです。
というのも成人式って、結構きっちり男女で服が変わるんですよね。
特に女の子はこの日のために振袖を準備する親御さんも多いし、当日は美容室で髪から着付けからしてもらったりする一大行事です。
だからこそ辛い!
カミングアウトしていなかったら親の気持ちをはねのけにくいし、カミングアウトしていたとしても申し訳なさがすごい!
望む性別の格好ができたとしても、周囲にかなりカミングアウトしていないと
「??? どういうこと!?」となります…。
というわけで僕は自分の成人式には出席しませんでした。
今年も悩んだ人がいただろうし、いま、次は自分の番かと悩んでる子もいると思います。
どんな形を選んでも正解なんてないけど、無理に成人式に出席しなくたって何もかわらないぜ!
ということだけは後輩たちに伝えておきたいです。
と、全国各地の成人式を伝えるニュースを見ながら、少し懐かしく思ったのでした。
2018年01月22日