かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【ヤングアダルトシールの使い方について】

ヤングアダルト、というのは、もともとはアメリカの図書館が作り出した“大人ではないけど子どもでもない人たち”に対する新しいサービスの名前でした。
具体的には13歳から19歳までを対象とし、アメリカの学校では毎日、調べないとできない宿題がでるので、それの手伝いをするのと居場所を作ることが主な仕事でした。
ところが1975年あたりから、児童文学の世界では扱えない問題にアメリカの子どもたちは直面するようになります。
親の離婚、貧困、暴力、麻薬、レイプ、などです。
それは児童文学では書くことができませんでしたので、新しい受け皿として“ヤングアダルト文学”が生まれたのです。
日本はそれを1980年代からせっせと翻訳し、吸収し、1990年代は自分たちでも作り始めました。
その代表作が森絵都の「カラフル」です。
つまり日本ではヤングアダルトは文学のジャンル名だと受け取られたのです(もちろん、間違ってはいないですが)。
その頃、イラスト分類シールを作っているときに、このヤングアダルトというジャンルも成熟し、爛熟し、分裂していくだろうと思い、シールはYAとyaの二種類用意しました。
案の定、ラノベが生まれ、それはやがて、30代の男性向けのものと10代の人たちのものに分裂していきました。
イラストシールは、この本はこの棚に置いてくださいね、という配置のための印です。
そういうわけで公共図書館はそのとき2種類必要でした。
でも学校は、はじめから30代用のヤングアダルトは買わなければいいだけの話ですから、一種類で足りてしまいます。

いまは、ヤングアダルトもラノベも廃れて姿を消した、といってもいい状態にまでなってしまったので、ヤングアダルト、は今現在子どもたちが自主的に読む本、という意味の
現代文学
というジャンルのつもりで使っています。
そうしてみなさんよくご存知の通り、学校図書館の棚はいまあるものを使わなければならないわけですから、いつも思い通りになるとは限りません。
ですから何箇所か、その学校の状態に応じて臨機応変に動かすジャンル、というのが出てきます。

いまは一応定番としては、
YA
は、本棚
yaは、回転書架に置いてね、の印として使っていますが、たとえば
「薬屋のひとりごと」

YA
ya
ミステリー
のどれかに置くことができ、どこにおいても間違いではありません。
本棚のほうのヤングアダルトやミステリーのあいだにいれることもできるし、回転書架、にいれることもできる、というわけです。
で、それはその学校の状況によって変えます。
つばさとみらいをセッセと買っているので、回転書架は一杯だから、本棚のほうにいってよ、ということも起こり得るわけです。

この他にも、たとえば「マークの本」は、NDCでは言語学(巻物のシール)に入りますが、マークの本はたいてい大きい。
ここは国語は文学サイズの書架だ、入んないぞ、になれば、日本の暮らし、や、美術、の棚にいってもらう、などということを考えるわけです。
同じように“動物雑学”は、生物学一般(遺伝子螺旋)か動物図鑑のどっちかに置きますが、これも、棚次第、となります。

そういうわけで
YAとya
うまくつかいわけてくださいね。

2022/02/02 更新