かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】リターンズ 05

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私   by mamenoturu

かん子さんは、ほかのひとに、間接的に、息を入れてやることができる人なんだろう、と思う。

へたっているひとがいたら、まず息をいれてやる。

世界っておもしろい。
自分の知らないことが世の中にはいっぱいある。

と、自分で気づかせる。

かん子さんと出会った頃は、私には生きる気力がほぼなく……、生きているふりをしていた。
今もさして元気もりもりというわけではなく、歴史を研究してる70代80代のかたの方が百倍元気で若いが、でもあのころに比べればずいぶんと元気になった。

現実では、ひとっことも、こんなことは言われてないが、私の精神世界内では、自分は押入れとかタンスに隠れて時々そーっと外の世界をのぞいてるような状況で、でも誰にも気づかれなかったのに、かん子さんはその前を早足で駆け抜け、通りすがりにきっちり気づき、そのうえ
「あんた、そんなとこでなにしてんの?暇だったらこっち来て手伝えって、こっちは忙しんだから。」
って言うくらいの勢いで私を引っ張り出してくれた。
なので当時は
「あ、はい、すみません。」
ってわたわたとちょっぴり外に出てみる、みたいなことが起こっていた。(←繰り返すが、これは現実ではない。こんな感じ、ということです)

で、自分では、表面的にのろのろとでも一応慌てて外には出たつもりだったが、その頃、自分の状況を
「自分は真っ暗なところにいるけど、遠くの方にかん子さんの持つカンテラの明かりがゆらゆら見えてるので、なんとなくそっち方向にいけばいいんじゃないだろうか、みたいな感じだった」
とかん子さんに話したら、
「あんたはね、周りが真っ暗で見えないから崖かもしれないって思って一歩も足を踏み出せないでいるんだよ。だけど、周りが真っ暗で見えないだけで、その一歩先は、断崖絶壁かもしれないけど、平地かもしれないんだよ?!」
と言われた。

「そうなの?!」

自分では自分がどうなってるか、なかなか客観的に見れないもので、時々、かん子さんは、直接的・間接的に
「あんたは、今、こうなってるよ」
ってことを教えてくれる。

あと、学ぶことに関して、私はいちばん根元のとこを知りたいと常に思ってきたのだが、かん子さんはそこを教えてくれる。
根元のところ、ほんとの基礎の部分。

そうして、
生きていくこと、
その中で、たとえば、
ひとをもてなすってのはこういうことか、とか、自分を大事にするってのはこういうことか、とか、
ひととして接するってこういうことか、とか、自分の足で立つこと・歩くこと、とか、そんなことも、言葉でなく体感で教えてもらった。
頭で知ってることとは違ったな、と、今、思う。

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