みんなの告知板

ある司書さんからのお便りです

ある司書さんからのお便りです

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先日伺った学校図書館では、つばさ文庫や未来文庫が毛嫌いされ、2001年刊の百科事典が鎮座し、うちではとっくに廃棄した学研の図鑑がカバーつきで書架を占めていました。

なぜそんなにつばさや青い鳥が、はなから排除されるのか?
実際子どもは何を読んでいるのか?
聞いてみました。

・物語至上主義、なうえ、なおかつ長く読み継がれて来た本が良書である。福音館の「ふしぎの国のアリス」と読み比べれば、つばさ文庫のそれは言葉の豊かさがなく、絵が下品である。「つばさ文庫を入れて」とせがまれ試しに買ったがこんなものは薦められない。学校図書館では福音館のを置くべきで、手渡す人がいれば子どもは読む。


やれやれ。
読めないよね~。
一人二人は読むかもしれんが、それにすがって大多数を無視するのはまずいっしょ。
福音館の、あの完訳シリーズは、発売された当初から読みにくかったのに。

・予算の有効利用の観点からも、本をよく知っている人の選書フィルターを通して合格したものだけを学校図書館は入れるべきだ。


それは、確かに!
ただし、その人が本当に本をよく知っているかどうか、が問題だけど。
よく知ってるのが昭和の文学だけだとまずいよね。

・物語は心の栄養になる本。ゾロリやミッケは心のおやつの本だから、時々読むもの。リアル系はまとめて頭の栄養になる本と。そう分けることで、小さいうちは満遍なくどの分野も読ませたいという。読書記録カードもおやつの本が突出しないようなカウント式になっている。


これにいたっては、絶句するしかない。
じゃ、あなたは、このひとつきに、何冊科学の本を読んだんですか?
だよね。
自分もやってないことを、しかもろくすっぽ、読めない本しか並べてないのに、よく人に要求できるよね。

人間は全員が全員マルチタイプじゃないし、こんなこといってたら、科学者も技術者もクリエーターも育たなくなるよ。
体だって、上にのびるときと、横にのびるときがあって、平均には大きくならないのに。
ていうか、読書の自由はどうなるんだ?

やれやれ。
世の中はこれからあとの20年で、どう変わるか予測できないんだよ?
2030年に生き延びられる子どもを育てなくちゃならないのに、これからまだまだ通信機器も仕事も変わっていくのに、どうすんの?

文科省も大変だ。
日本の未来は暗いね。