いまは全国的に、
いまは全国的に、
 一校に一人、司書を!
 というスローガンが独り歩きしているように見える(つまり、そう主張してる人たちも本当はわかってないだろうな、と感じてしまう)。
 でも、そんなのは雇われたその人たちが初めからプロだったとして、という条件つきの話である。
 実際は、なにも知らない、やったことがない人を突っ込むことがほとんどなので、仕事知らないのに行ってみたら誰も教えてくれない、誰も知らない、従ってなにしていいかわからない、成果は上がらない、ということになる。
普通の会社で考えてみてくださいよ。
 たとえばスーパー。
なにも知らないド新人をバイトで雇って、仕事も教えずにいきなり支店長にしますか?
 しかも部下なしで。
 一人で全部切り回せ、とーー。
 んなことしたら、仕事にならないに決まっているでしょーが。
 一人で何校も持たされることに不平をいう人もたくさんいるけど、はっきりいって、一校に放り込まれた人より、三校持たされた人の方が上達が早いよ。
 事情が違うところを持たされると、比べて大筋が見えてくるから。
 もちろん、一人で12校なんてのは、もってのほかですがね。
 それは、個人の能力を越えてしまう。
一番いいのは、まずは何人かでチームを組んで、学校の片づけをしてまわる、ことである。
 素人でも、三人よればなんとかの知恵で、ああそうか!という気づきは増える。
 悩んだときに相談できる。
 なによりも、本棚は重い。
 一人じゃ動かせないですよ。
 掃除は大勢でやれば楽しいが、一人でやると苦痛になる。
 しかもえんえん終わらない。
 みんなで全部回ればそれぞれの状態も把握できるし、とにかく仕事ができるようになる。
 初めての学校は三週間かかったのに、10校もやると、三日、で、できるようになりますよ?
 そうやって、仕事ができるようになったら、一人で一校、やってもいい。
 確かに一人で一校持たないと、それ以上レベルの高い仕事はできない。
 でも、そのときには、仕事は把握できてるし、相談したいときにも相手がいるし、そうなれば、季節の展示品なども回せるようになる。
 10校あったら、飾りを回せば一度作れば10年、違う飾りができますよ?
 短時間で……。
 みんなそれぞれ得意分野も違うはずだ。
 不得意なところはカバーしてもらえればいい。
 というわけで、仕事も知らないのに、スローガンとして、一人一校!と唱えるのはやめてもらいたいなぁ、と思うのです。
 学校司書のプロなんてそうそういないし、公共図書館にだって、いまどき、棚を作れる人はそういないのだから……。

