みんなの告知板

ある本屋さんからのお便りです。

ある本屋さんからのお便りです。

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新樹社の新刊『さんびきのこぶた』を、保育園の三歳児さんに読んでみた。
担任から「年度初めで落ち着かないでいるので、15分が限度だと思います」
と言われたので、まずは鉄板の短い絵本を二冊読み、子どもたちの様子を観察する。
確かにうるさいことはうるさい。
本の言葉に反応し、それぞれの子がありったけの声で言いたいことを言う。
ということは、聞く気がないというわけではないらしい。
そこで
「最後はこれね」
と『さんびきのこぶた』の表紙を見せた。
いきなり
「家にある!」
という声(読んでもらったことある!でないところが切ない)
最初はざわついていたが、オオカミ登場で、瞬時にサイレントモードにシフト……。
ページ毎に間を取りながら、慎重に最後まで読み終わると
「紙芝居はないの?」
という声があがる。
「あら~紙芝居も『三びきのこぶた』(童心社刊、川崎大治脚本、福田岩緒絵)しか持ってこなかった。でもおんなじ話じゃねぇ?」(これ作戦ね)
と答えると
「いいよ、『さんびきのこぶた』で!」
と言うので読み始める。
もう最後までお話に入り込み、声一つ上がらない。
絵本が、見事に紙芝居の導入になっていた。
『さんびきのこぶた』の絵本が、子ども達に物語の最初の扉を開けてくれたよう……。
キーポイントは、子どもたちと親和性のある絵、テンポのいい展開、無駄のない文章にあるとみた。
やはり、絵本の真価は、子ども達に試してみなくては語れない。