Q23 レファレンス、というものは、どこまでやればいいものですか?

【Q】
レファレンス、というものは、どこまでやればいいものですか?

【A】
図書館の使命は‘データの提供’です。
ですから、理論上はお客さまの必要としている情報を提供できるまで、になります。
日常的には、自分の図書館で提供できる資料が中心になりますが、ない場合は
持っている図書館を探して紹介したりもします(特に、部外者をいれてくれない大学
図書館などだと紹介状が必要になりますから、書くんです)。
これをレフェラルサービス、といいますが、私が習った図書館サービス論の先生は、
それをもう少し発展させて、お客さまを見て、うーん、このかた足も悪いし車もないし、
お隣までいくのは無理!と判断したら自分がその資料を取りに行ったり、そのかたを
隣の図書館まで案内する、というサービスまでやっているところがある、アメリカでは……
という、話をしてくださいました。
それがどこの図書館なのかは裏をとっていないのでわかりませんが、要は、必要な
ことは、出来る限りしたほうがいい、ということなのでしょう。
でないと結局お客さまはその情報を手に入れることができませんからね。
もちろん、時間の制限もあれば、からだは一つしかありませんからそこまでは無理!
ということはあるでしょうし(日本の公共の職員の場合、カウンターを抜けて公用車で
仕事中にお隣の図書館までお客さまをご案内することはできないでしょう。
時間があったとしても、事故ったらどうする?がありますし)
だから各自、自分で考えて出来る限りのことを、というしかありません。
ここまでは必ずやらねばならない、の下限はありますが、これはやってはならない、
という上限はない、ということでしょう。
100年前にはいまの公共図書館のサービスも、ほぼなかったのですから……。
いまあるサービスはどれも先人が、こういうことをしたほうがいいんじゃ……と考えて
作り出したもので、神様のご託宣だったわけではありません。
必要なら新しいサービスが、今日も生まれてきていいのです。

学校図書館としては、私は、百科事典の項目をコピーするときは拡大して渡す、
そのとき読めない文字があったらふりがなをつける、までは、やるべきだと思っています。
でないと、こどもたちは情報を手にいれたことにならないし、いちいちわからない
単語を調べていたら先に行けません。
もちろん、単語調べをする時間がはじめから取ってあれば、本人にしていただ
くべきですが(しかし、いまの学校では、そんなことはほぼないといっていいでしょう。
調べものの第一歩は、定義を手にいれることだ、ということをご存じの教師は、
ほとんどいらっしゃいませんので)急いでいるときにはね。
どこまでサービスするべきかはあくまでもお客さまをみて、無理だと判断したところ
まで手伝う、を基準にすべきでしょう。
たとえば、小学生が総理府の統計局のホームページにはいって、データを取って
くる、のは、ほぼ不可能です。
できる人には、どうやって入るかを説明するのが仕事です。
でも低学年なら、自分が取ってきて渡すべきだ、と、私は考えます。
つまり、司書本人は、統計局からデータを取ってこられる技術を持っていなければ
ならない、というこもになりますね。