お知らせ かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【はなと私の読書日記・その5】

かん子先生のご友人セイさんと、はなちゃん(今度新一年生)の読書記録です。
かん子先生曰く、はなちゃんは、たぶん理系ではないタイプのリアル系との事。故にお薦めされた本はセイさんにとっては「?」な感じのものばかりのご様子。さてさて、はなちゃんの反応は...?

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☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【はなと私の読書日記・その5】

『夜明けまえから暗くなるまで』

 アメリカ北部、バーモント州の農場に暮らす家族の物語……。
先祖はスコットランドから移住してきたといっても、冬が7か月続くこの地は寒さは厳しく、畑は石だらけ。
農業機械が壊れないようにその石を拾わなければならないし、雪がとけると道はぬかるみ車がはまる、と生活の一つ一つが大変です。
 どうしてわざわざここに移住したんだろう?と兄や従兄弟たちはぼやき、大きくなったらこんなとこ早く出ていってやる、が口癖なのですが、妹は、でも、楽しいこともたくさんあるじゃない?と心のなかで思うのです。
懸命に働かなければならないけれど、おばさんが作ってくれるおやつの時間や、ぬかるみや雪のなかでの遊び、収穫、家族の外出やクリスマスまで、離れても、きっとここが懐かしくなると思う、と、暮らしの一つ一つを楽しむ妹の目から、次々に一年の出来事が語られます。

 表紙からは分かりにくいですが、どのページにも兄やいとこなど数人の子どもと働く大人が描かれます。ある時は暖炉の前でみなが楽しそうにくつろぎ、ある時は畑仕事の合間に目に留まる鳥がいて、納屋の動物のこと、乳しぼりのこと、全員が楽しかったと認める蛍の灯の中の野球など、描かれるひとつひとつのお話は、どれも具体的です。

 その具体的な分、文章量が多く、読む私はびっくりしたのですが、大変な暮らしだと頭では思いつつも、穏やかな表情でみんなで仕事する暮らしぶりを読むのは楽しく、はなも長い本に飽きる様子もなく聞いていました。

 かん子さんには『ブライディさんのシャベル』とは作者が違うけどセットみたいなもんなのよ、とこの本を教えていただきました。どちらもメアリー・アゼアリアン絵、あたたかみのある版画です。

 はなが一番好きなのは、砂糖づくりのシーンです。雪の中、メープルの木に穴を空け、バケツを下げて歩くのも、重たいバケツを集めて歩くのも子どもたちの仕事……。
マイナス20度にもなるなかでの凍死しそうなほどの過酷な作業で、兄たちはぶうぶう文句をいいます。
このシロップを収穫するやりかたは、はなは「おさるのジョージ」のアニメにも出てきたので「知ってた」そうです。
でも妹は、そのできたてのシロップを雪の上にたらしてキャンディを作ってもらうのはおいしくて楽しいわ、と思うのです。
本当においしそう!

 お兄ちゃん達と野球をしているのも楽しそう。ここは、夜明けまえから暗くなるまで仕事をしている中で、唯一子どもの世界らしく遊んでいるページです。

 最後のあとがきには、文章と絵の作者それぞれのアルバムから家族写真が紹介されます。ここで、本の中の兄やいとこが実在するのだということが分かり、ちょっとびっくり。
モノクロ写真のリアル感は偉大で、はなは、このページを何度も見直し、キャプションに紹介される子どもの名前を確かめ、次の写真では大きくなっている様子を見て楽しんでいました。

そうして最終的には4人だけがここから出ていったのですが(一人は遠いアフリカまで!)あんなに出ていきたいといっていた大多数は残り、夜明け前から暗くなるまで働き、何かといえば集まってご飯を食べたり遊んだりしているのだとか……。
ここには仲間として受け入れられ、生きがいも居場所もある、ほぼストレスのない人生があります。
ただし、そのためには“夜明け前から暗くなるまで”働かなければならないのですが……。


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2026/02/13  更新