読み聞かせ
これは、学校図書館関係者には、今のところあまり関係ない話だが(あと何年かすれば関係してくるが)七歳以下の子どもたちのお母さんたちが、露骨に読み聞かせをしてくれなくなった。従って、本を読んでもらってない子どもたちがあっというまに、今現在、増殖しているのである。
 その理由の一つは
 “めんどくさい”
 本を読んでやるのはどうしてもめんどくさいので、何かいい方法はありませんか?
 と素直に聞かれる。
 今のところ、これに対するいい解答は思いついていない。
同じように、遊んでやるのも、ご飯食べさせるのも、みんな“めんどくさい”のだろうと思う。
 まあ、7才の女の子にお母さんをさせれば、すぐに飽きるに決まっているのだから、当然といえば当然なのだけど。
 なので、最近のばあば、や、じいじ、のなかには本を送りつけて(で、こんなもの、送ってこないでよ、せまいんだから、と金を払ったあげく、文句をいわれ)次には自分が出かけていって、読んでやっている人が増えてきた。
 子どもたちの親は自分の娘や息子ではあるのだけど、こんな風に育てたはずではなかった…あんたがたにはさんざん読んでやったではないか、なのだけど、めんどくさいわ、の一言で切って捨てられる。
 愕然とし、危機感に駆られ、孫可愛さにせっせと通うのだ。
 (もし、そういう本をお買いになりたいのなら、セットで斡旋いたしますよ?)
でも、二つめの理由に
 “読んでやっても赤ちゃんが聞かない
 というのがあるのだ。
 なにを読んでやればいいかわからないと、やっぱり何かの本やリストを見る。いわゆる“良い絵本”リストだ。
 ところが、そこに載っている本は、読んでやっても聞かないのだ。
 なぜか?
 古いからである。
 つまらないのだ。
 さすがに…。
 平成になって26年たっただけのことはある。
 ちょんまげ結っていた江戸時代から、明治時代も20年以上たって、ようやく脱却したときのように、昭和はようやく遠くなったのだ。
というと、また柳眉を逆立てて怒る人たちがいるだろうが、
 この良い本を喜ばなくちゃダメなのよ!
 というのはかまわないが、赤ん坊に、どうやっていうことを聞かせようというのか?
となると、もともと本が好きではない人たちは、やっぱりダメじゃない!
 とすぐに放り出してしまう、ということになる。
生まれつき本の好きな少数派、は昔の本でも読む。
 どんな本でも、ではないが。
 読んでもらって慣れてくると、読み巧者になって、古い本のなかにも好きなものも出てくる。
 でも、大多数の初心者は、古い本は好きではないのだ。
というわけで、全然本を読んでもらっていない子どもたちが、これから、小学校に入学してくる。
なので、お願いです。
 一年生の一学期の間だけ頑張って、毎日読み聞かせ、にいってください。
 してください。
 学校でも、学童でも図書館でもいい。
 毎日!
そうしたら
 二学期になる頃には足並みが揃います。
 子どもたちの吸収力は凄い。
小さな子にとって、本は水と同じです。
 水が足りなければ…。
 植物は枯れるのです。

