かん子の連載

モーリス・センダックの最後の絵本

2011年?に亡くなったモーリス・センダックの最後の絵本だそうです。
センダックの絵本は基本的におおげさにいえば児童虐待で、代表作の「かいじゅうたちのいるところ」のように、かいじゅうは助けてくれても、親や親戚は助けてくれませんでした。
ところがこの絵本は、誕生日を一回も祝ってくれなかった酷い両親が死んでしまうと、やさしいおばさんが一緒に暮らしてくれ、誕生日を祝ってくれようとするのです。
ところがっ!
この子はおばさんのいない留守に友だちと一緒に誕生日のごちそうもジュースも食べ荒らしてしまうのです……。
これはいったい、なにを意味するのでしょうか?

確かに傷ついた子どもたちは、ここは安心、という場所に来ると大暴れします。
本当に信用できるのか、どうしても確かめずにはいられない……それに、いままでの毒を出さずには新しい人生は始められないのでしょう。
でもこの絵本は、そのことをいっているのでしょうか?
それとも喜びのあまり、押さえられなくなってしまった、という話なのでしょうか?
おばさんは怒りますが、最後には許してくれます。

絵はたいそう素晴らしい!とてもお年寄りが描いたとは思えない力強さです(それをいったら、スタイグも97だかでしたね。最後まで凄かった)。
「ミリー」はあきらかに歪んでいました。
正直いってこのお話も私にはどう考えていいのかわかりません。
安心した子どもたちが暴れることは、すでに1990年代にはわかっていましたから、センダックだって知っていただろうと思うのですが……。

センダックは亡くなる前に心の平安を手に入れたのでしょうか?