かん子の連載

以前にフェリシモから「ナイチンゲール」を出したことがある。

以前にフェリシモから「ナイチンゲール」を出したことがある。
全編美しい色に満ちているこの話を私は小学校四年のときに読み、たいそう気に入ったのだが、一つどうしてもわからないことがあった。
あれは皇帝が病気になる話だが、皇帝が弱るとだれもそばに寄ってこなくなるのだ。
中国の皇帝といったらたいそうな権力者ではないか、と思った私はこの点、どうしても合点がいかなかった。
という子どもの時の疑問をようやく解決するアイデア(アンデルセンはそんなこと考えていなかったと思うが)を思いついたのは30年後だった。
というわけで、丹地陽子さんのイラストも抜群に美しいこの一冊はひそかに私の自信作である。
ひそかに、というのは、だれもそのことを認めてくれなかったからだが、いまはもう、絶版だし、図書館でもすでに書庫に入ってるかもしれないが、あれは大人になってからでないとわからない(まあ、アンデルセンはほぼそういう作家ですが)話でもあるので、読むものに困っている人がいたら読んでみてください。
そうして、こちらは作ることができなかったのだが「ある株式仲買人のナイトキャップ」や「あの女はろくでなし」も読んでみてください。
アンデルセンに対するイメージも変わると思います。