かん子の連載

NCSIの最終クールが始まった。

アメリカで一番人気だというNCSI……海軍専用科学捜査班ね……の最終クールが始まった。
これは優秀なトップ……誰もがこんなひとが上司だったらいいのにな、と思うタイプの、冷静で有能で頼りになって絶対裏切られないリーダー、ギブスのもと(つまり、彼が偉大なお父さんなわけね)に集まった、みんなどこか足りない、AC系の部下たちの物語です。
みんな、ギブスを慕っている……。ギブスをまもるためなら自分の命を懸けても惜しくない、と思うほどに……。
で、これがアメリカで一番人気ということは、強いお父さん、なにも考えずについていけばいいだけのお父さんがアメリカは欲しいんだなぁ~、だったんですね。
で、最終クールで長男役だったイタリア系のディノッゾがいなくなり、代わりの部下候補が、とっかえひっかえ来るのにギブスがみんな雇わない……で、人事担当が、いったいどんなのがいいのよ、キーっ、とわめくところから始まるのですが、その担当者が最後にわかった!
というところで仰天した。
“あなたが探してるのはこのチームに必要な人材ではなくて、このチームを必要とする人なのね!”
というわけですよ。

つまり、ギブスは自分が面倒見て一人前にしようと思う人材を、人材育成のために探してる、といえなくもないですが、もっとうがったみかたをすれば、ギブスは自分を必要とする人を必要とする……共依存なんじゃないの?
という見方もできるでしょう。
いや、むしろそっちでしょう。
最愛の妻子を殺されてから、ギブスはずっと、苦しんでる……。
ホントはもう生きていたくない……。
でも死ぬわけにはいかないから、自分が生きなくてはならない理由をこしらえるわけよ。
面倒みなくちゃいけない部下をこしらえて……。

このシリーズは本当に造りが上手で、ストーリーはそこそこ見ごたえがあるが難しくない。
わかりやすい、平易な英語を話す(スコットランド人の検死医以外は……)。
強いアメリカ、は押し出すけどリベラル……。
軍人はカッコいい。
軍隊は人の役に立つ……。
という、スキーの大回転みたいな離れ業をやってるんです。
そしてそこに薄切りの牛肉を挟むように、ゲイ差別の撤廃、女性差別の撤廃(局長が女性だったときがあった。しかも彼女は癌で死ぬ、とわかったあと、敵と銃撃戦を企画して殲滅させて死んでいく……)、人種差別の撤廃、で、このラストシリーズでは移民差別の撤廃、まで突っ込んできた……。

これでラスト、ギブスの傷が癒えるとこまで描けるのかなぁ。
描けたら凄いぞ。
でも、はっきりと、これがあなたの問題よね!?
と突きつけたもんな……。

いっぱい、見逃してるもんで、最後まで見られるのはいつの日か、なんですが(そもそもディノッゾがなんでやめたのか、まだわかってない。そのへん、見逃した。再放送を待つ……)もし、それができたら、凄いことだと思うよ。