かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 12 廃棄本書架を作って見たけれど

12 廃棄本書架を作って見たけれど   by K.O

市の国語図書館部会で、赤木さんをお招きして、小学校図書館の廃棄本について、指導を受けた時の話です。
廃棄に該当する本を、何のためらいもなく鮮やかなスピードで倒していくその様に、図書主任たちは、
「ええっ!これも、あれも!」
と驚きの声を上げっぱなしでした。
その反応に対し、赤木さんは、
「見て! この、本を倒した時に舞い上がる埃!その位この本は手に取られていないのよ」
と、おっしゃいました。
その埃は、廃棄を納得させるのに充分すぎるほどの説得力がありました。
しかし、7割もの本を、すぐに処分する度量はありません。
「そうは言われても、まだこの辺りの本は読むはずだ!」
と思われるものを、書架一本にまとめ、高学年の教室のある廊下の突当りに置いてみました。
しかし一カ月たっても、その本が動いた形跡は全くありませんでした。
子どもたちに聞いても、全然読んでいないという返事。
こんな本を読んでほしいとか、読むはずだとかいう一方的な思いは、見事に打ち砕かれました。
それと共に、実際動いている本は三割にも満たないという現実を、思い知らされた出来事でした。
その後、廃棄本を撤去して空いた棚には、ビジュアルの美しい本を面出しして並べたところ、本の数は減ったのに、貸し出し冊数は増えたのです!
思ってもみなかった過去の体験です。