かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・3-14】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない??、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

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3-14  長期休み

さて、学校には、夏休み、冬休み、春休みと、長期休みというものがあります。
うちの市の学校図書館ではどこでも長期休みにも子ども達が本を読めるように、休み前にいつもより多めに貸出する特別貸出というのをやっています。
いつもは2冊のところを、10冊貸しちゃうという大盤振る舞いをするわけですね。
そうして、うちの学校には特別に(他の学校では見たことありません)
「特別貸出期間にはそれまでに借りている本は全部返却してもらう」
というルールもありました。

いままで返しそびれていた人にちに一度、まとめて声をかけるチャンスができるので、これが案外便利!
だというのがやってみてわかりました。

というわけで他の学校でも夏休み、冬休みと特別貸出はしてきたのですが、この学校では春休みにも特別貸出をしている、と聞いてビックリ!!

私が今まで勤めていた学校では、春休みは全員に借りている本を返却してもらって、春休み期間に蔵書点検をして、破損してる本は修理したり廃棄したり、と、新年度を迎える準備をしていたんです。

でも司書教諭の先生いわく「春休みに貸出して問題が起こったことはないわよ。」と……。

確かに。
考えてみれば、壊れたり破けたりしている本はそもそも貸さないと思うので、めぼしい本(壊れていない本)をめいっぱい借りていってもらえれば、蔵書点検しなければならない数が少なくなるわけですから、それは楽……。
借りられている本は、すでにカウントされているわけですから。

なるほど〜!!
と目からウロコでした。

もちろん、卒業する6年生には卒業するまでに借りている本は全部返却してもらいますし、先生方にも全冊の返却をお願いします。
先生方も移動なさるので。

さてこの長期休み貸出中(たいてい10日間くらいですね)は、いつもよりたくさん借りているから休み時間は来館者が減るだろうと思い、仕事の心づもりをしていたのですが、あまり変わらず……。
こころもち、少し減るぐらいで、忙しさ、変わらず……。
長期休み貸出で借りた本を読んだら、また別の本を借りに来られるんです。
特に物語を借りているかたは。

「図書館は終業式まで開いています」
とはお知らせしてますが、こんなに来られるとは思ってなかったので、通常業務ではない仕事、の予定をたてていたのですが、ほぼできない状態……。
本を返しにきた人に
「この間借りたばかりだよね?」
と聞くと
「だって読み終わっちゃったんだもん」
と言われました。
確かにシリーズものとか読んでる子は続きを読みたいにきまってます。

あと、みなさん、宿題用の本も、早めに借りて行かれるかた、多し。
工作、自由研究、自分で調べて作る壁新聞、理科の実験の本、などはどっと借りられていき、棚にほとんど残っていないありさまです。
料理の本も、長期休みだとよくでます、というか、本当に棚が空っぽに……。
お休みの間に作ってみるそうで……。
こういう本は、休み中に使うので、当然ですが、特別貸し出し期間には戻ってきません。

毎回思いますが、本当にこの学校の子たちは賢い。
だってそういうのって“先を読める”からできるんですよね。
休みになったらあれをしよう、とか、あれをするからこれがいる、とか。
子どもというものは、あした提出!
という宿題の本を今日借りに来る、というイメージだったのですが、ここの子たちは本当に上手く図書館を使ってくれるというか、いつも先を先を読んで行動する人が多いと思います。

いつもより貸出冊数を増やしていることでちょっとハイになって、読書意欲を亢進させているということもあるのかもしれません。
いつもと違うことって楽しいですから。

でもそういうわけで、めぼしい本はあらかた貸し出されるので、確かに蔵書点検は楽だし(圧倒的に冊数が少なくなりますから)壊れた本や古い本は目につきやすいしで、春休み貸し出し、グーよ!
でした。

子どもだけでなく、こういうことを思いついてすぐ実行する、ここの先生がたも本当に賢い方たちだと思います。
ほかのところでも、去年と同じに、ではなく、いまにとってベストとはなにか?
で動かれているように見えるのです。

ここならいっそのこと、無制限貸出、というやりかたでもいけるのかもしれません。
今度、司書教諭の先生と、相談してみましょう。

2025/06/12 更新