かん子の連載

××× 赤木かん子のニューヨーク便り その2 ×××

ニューヨークには、本当に何年にいっぺんしか来ないから、くるたびに変わっていて、どひゃー、と思う。
始めてきたときは、エネルギッシュで猥雑で、荒っぽいけど魅力的で知的なとこだった。
少年がベルトにピストル差してて歩いててぎょっとしたり、偽物のローレックス売ってるお兄ちゃんがいたり、とにかく良くも悪くも元気だった。
日本に帰って来て、夜外に出られるのはすごいことなんだなぁ、と思ったものだ。

テロのあと来たときは、とにかく
⚪子どもはいない(島のはじっこに学校を移動させたってきいた。人質に取られたら手も足もでないから)
⚪浮浪者は一掃(100ドルもらって、これをあそこにおいてきてくれ、といわれたらやっちゃうから)
⚪貧民街は取り壊して高級にして住めないようにして島の外に移住(そのかわりフェリーはただにするからって)
⚪空港では網膜チェックと指紋を取られる
で、もう金持ちしか見当たらず、お掃除してる黒人のお姉さんまで知的、で整然としてなんか町じゅう博物館になったようで、そこらを歩いてる住民そのものが展示品?みたいな感じで、怖くなくなったのはいいけど、つまらなくなってた。
朝の六時から知的エリートの白人たちは、ホテルのジムで走ってる(これがまた外から見えるようになってるわけよ)。
バリバリのパリパリのエリートたちばっかりで、人懐こかったイタリア人のオレンジジュース売りはいなくなり、代わりにイスラム系の屋台ばっかり。
いかにも我々は差別しません、と広告してるみたいな……。

今回はなんというか……。
だらしない、というか、弛緩してるというか、もういかにも金がないって感じがありありで、空港でもなにも聞かれず、というか担当のお兄さん、病気なんじゃないの?と心配になるくらい目が虚ろ……人もいない。

ホテルのお姉さん、ありませんね、じゃなく、なんとか考えろよ!
あんまり客いないじゃん!
ホテルの未来とか……考えないのか……?
イスラム系の屋台、まだ一つも見てません。
あるとこにいけばあるのかもしれないけど。
物価はめちゃくちゃ高いし、なんかみんな疲れきってるし、店も変わっちゃってるし、そもそも働いてる人が少ないし、あんなにいなかった浮浪者が何人もいるし……。

まだ行ってませんが、ニューヨーク図書館はまだ知的だと思いたい。

2018.06.13更新