かん子の連載

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(毎月一回の予定ですが、2月がお休みだったので今回は3月分ということで…)

ガーナのおすすめ本商会(20)

「うつくしいのはら」
西原理恵子

赤木先生から「読んで感想を聞かせて!」と依頼され、とっても短い絵本を読んだ感想です。

延々に繰り返される苦しさや虚しさを感じる話でした。

「うつくしいのはら」は、この人たちの純粋な心そのもの。

それを理解したうえで、素直な感想を書きます。

女の子も、その子どもも、兵隊さんも、字を覚えようと思っても、覚えられない環境下にいて、自分ができなかった分、次の代で…と思いを託すけれど、この環境に生まれてきた時点で、悪い意味での運命があるのだと思いました。

この子たちは生まれた瞬間から、こうなる運命が決まっているというのは、とても悲しいことです。

逆に私たちは自分で運命を決められるような場所に生まれているということを、改めて実感すると同時に、この話の場所に自分が行ったら絶対に耐えられないと思いました。正直、こういう現実からいまの私は目を背けたくなるほど心が苦しくなります。

たった今でも、同じ世界にこういう人たちがいる。

登場する女の子は学力はないけれど、生まれてから死ぬまで、私たちが思っていたであろう小学校低学年くらいの純粋な気持ちのまま死んでいくのです。直視できないし、こういう人たちが私たちのような生活ができるようになった時、こんな世界でがっかりするんじゃないかと思いました。いわゆる平和で、進んでいる国に住んで、当たり前に学んでいっても、私たちの心は純粋かどうか疑問です。

戦争が終わって、自分で稼げるようになりたい、という気持ちに応えられるような「うつくしいのはら」はこの世界に無いのではないか、そんな感想を持ってしまいました。

さらに想像して現実を直視するのはとても辛いけれど、私なりに想像してみました。この話の感想を書きにくいと思った理由があり、単に、悲しいとか、戦争はやめたほうがいいとか、簡単な言葉で表したくないと思いました。

もし私がこの話を誰かにすすめるのなら、こんな苦しい生活をしているけれど、この子たちなりの幸せがあるのではないかと考えたり、何かそんな幸せがあってほしいという願いもあったり、勝手な思いだけれど、クラスの人には紹介したくないという気持ちです。簡単に戦争はだめとか言ってほしくない。

小学生レベルでは深く読み解けない、うわっつらだけになってしまうと思うのです。

でも、大学生くらいなら、この本を読んで、起こせる行動があるのだと信じたいです。選挙権がある、海外にボランティアにも行ける、国を動かす人になって本当に苦しい国を救う国連のような場所の力をもっと大きくしてほしい、そこにお金が集まるようにしてほしい。そんな大人がどんどん生まれていってほしい。と思っていても、この世界を本気でよくしようと思っている人がどれだけいるのか、自分がよければいいやと思っている大人予備軍がたくさんいることで、この話のメッセージが伝わるのか??と嘆いてしまう自分がいます。

私はいま11歳です。まずは自分のまわりから。

いろんなことを考えている人がいて、その人たちがそれぞれに輝ける場所を作りたい。その輝きが同じ方向に向かったときに、一番強い力になる。一人でできることは知れているけれど、人は誰かと結びついて生きていくもの。それをつなげて、世界を少しでも救いたい思っています。

世界の子どもを救うためには、自分の近いまわりから変えなければと思い、児童会長になりました。「多様性」を認め合う。最低限からのスタートですが、20歳になったら、きっと大きな力になってくれると思い、がんばっています。

そういう気持ちをこの本から感じました。

虚しく辛い本です。大人にはせめて理解してほしいです。

うつくしいのはらに咲いた魂の連鎖を、うつくしいまま断ち切ることはできないかもしれないけれど、虚しさ悔しさの連鎖は止められる人間になりたいガーナでした。

2021/03/24

★ ★ ★ かん子より ★ ★ ★

「うつくしいのはら」は西原理恵子の最高傑作、ともいわれるたった13ページの短編マンガです。
浦沢直樹の「プルートゥ」に寄せて描かれたものでもあります。
舞台は東南アジア……。
えんえんと続く戦火のなか、学校にも行けず、普通の暮らしも仕事もないなか、字を覚えててもらわない人になりましょう、というシスターの学校に通う女の子が主人公です。
大学生に書いてもらった感想の大多数が、いまの日本が戦場でなくてよかった、学校に来られるのは幸せだ、だったので、どうしようと思い、ちょっとガーナにも読んでもらいました。

「営業物語」と「生きのびる魔法」に収録されています。