かん子の連載

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(毎月一回の予定です)

ガーナのおすすめ本商会(22)

「お探し物は図書館まで」
著者・青山美智子
ポプラ社

 中学受験の勉強に勤しむ日々のモチベーションは、中学に入って文芸雑誌を発行するために文芸部を設立したい‼︎ というものです。ところが、すでにその中学校に文芸部という名前の部活があり、少しがっかりしたガーナです。とはいえ、どうしても雑誌を作りたいし、さらに自分で部活の立ち上げをゼロからしたいので、受かったら部活の名前を変えて挑戦するつもりです!

 今回は、そんな本や雑誌、図鑑などに関係した作品「お探し物は図書館まで」を紹介したいと思います。

 この本は、以前に紹介した、「ただいま神様当番」の作者が書いたものであり、本屋大賞の2位をとった作品です。本屋さんで見かけ「ただいま神様当番」がよかったのもあり購入しましたが、前の作品よりも涙腺をせめてくる内容で、これは絶対に紹介しなければ!となったわけです。

 この本は、さまざまな年齢や状況にいる人々が、とある地域の学校に付属している交流施設へ、パソコンの勉強をしに来たり、買い物に来たりと、あらゆる目的でこの施設に入ります。その施設を利用した人は、最後にその中にある図書館を見つけて、探している本とともに、自分の人生における探し物を見つかる、という内容です。

 この本には、図書館の司書で、小町さん(小町さおり)という強面&高身長な人がいます。この小町さんが、やってくる人それぞれの要望にあった本を紹介していくとともに、その人が本当の意味で必要としている「本と付録」を渡すのがこの作品の鍵になります。付録は、羊毛フェルトで作った動物だったり、食べ物だったりいろいろです。選別に意味は無さそうですが、私にはその人にとって本当の「お探しもの=本」と合う付録を渡しているのかな?と思いました。

 小町さんは交流施設で働く清掃のおばさんに「さおりちゃん」と呼ばれていたり、見た目とは違って意外と乙女なところはあったり、強面でも可愛いところがある魅力的な人です。小町さんの人物像については、合間に少しずつ出てくるので、そこにも注目して読んでみてください。

 この作品は、前作の「ただいま神様当番」と同じで、同じ世界の中で、登場人物ごとの短編集になっています。その中でも、私の心に残った話を紹介したいと思います。「ぐりとぐら」という絵本がきっかけになってくるお話です。主人公は、東京に上京し、エデンという総合スーパーに就職している藤木朋香21歳で、自分が働く職場をダサいと感じる気持ちと、もっと素敵な理想の東京とのギャップに悩んでいるのです。そこにこの話のテーマともいえる「ぐりとぐら」が登場します。この、ぐりとぐらは、朋花の小さい時に読んでいた本なのですが、お話をすっかり忘れてしまっていました。そんなとき、交流図書館の司書さん、小町さんが、「あなたに必要な本」として渡したことにより思い出します。そんな出来事から、いまの仕事の良さを見いだし、自分の身の丈にあったものを選ぶことも時には大事だなと噛み締める、そんな話です。じっくりと読んでいくうちに、朋花の思いが伝わってきて、じわじわと涙が押し寄せる気持ちになりました。

 そんな図書館でおきる、時には泣けて、ほっこりする作品を紹介しました。ぜひ読んで見てください。

私も、不思議な図書館に行きたいなー、と思うガーナでした‼

2021/07/14