かん子の連載

【赤木かん子還暦おめでとう企画】 54 ぐりとぐらが書いた本

ぐりとぐらが書いた本   by 元M市図書館司書 K

 8年前、勤務していた図書館の中央館児童室主担当になりました。
当時、絵本は出版社のあいうえお順に並んでおり、職員も使いにくいし、利用者からの苦情も絶えませんでした。
 そこで、配架方法を変えようと思い、休日にはあちこちの図書館の絵本コーナーを見て歩いて研究しました。
 しかし、配架方法の変更は大仕事になるので、消極的な職員が多く、どうやってこのプロジェクトを進めて行こうか悩んでいました。
 ちょうどその時、車で40分位で行かれる町立図書館で、かん子さんの改装ワークショップが行われる、という情報が入りました。
なにかヒントになるのではと参加し、休憩時間に思い切って、かん子さんに配架の相談をしました。
「タイトル順。小さい子どもは『ぐりとぐら』は“ぐりとぐらのほん”といって探すよ。山脇百合子じゃなくて……。」
 これを聞いてハッとしました。私はいったい誰のために絵本の並べ替えをしようとしているのか。
 迷っていた心が決まりました。職員の都合ではなく、すべては子どもたちのために。
 ぐりとぐらの話はわかりやすく説得力があり、プラス
「と、かん子さんが言っていたよ」
の一言で、無事全館タイトル順に変更することができました。
 結果は、とても使いやすくなり、利用者からも好評でした。