☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・3-12】
学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない😅、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~
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3-12 掃除
毎日休み時間に開けるようになると、あっというまにお客様の数が増えました。
そうなると、夕方帰り支度をして、カギを閉めて帰ろうと思うと
「うっ……」
床にゴミがあることに気づきます。
掃除しなきゃ……。
接客業に掃除は基本……。
毎朝図書館の戸をあけると、窓を開けて空気を入れ替え、棚の上のホコリをざっとはらって床に落とし、床をほうきで掃きます。
図書館は、生活感がないところのように思われていると思うのですが、これが案外いろいろなものが落ちているのです。
消しゴムやえんぴつ、しおり、まあこのあたりは当たり前として、季節の木の葉、木の実、セミのぬけがらやダンゴムシのような生きものも当然のように落ちてますし、それ以外の、これはなに?
と思うようなものも結構落ちていて、子ども達に聞くと
「図工で使ったやつだ!」
とか
「あ!理科の工作の部品だよ、それ!」
とか、いろいろ教えてくれました。
なるほど。
ハンカチなどの落とし物も名前が書いてあるものはお届けしますが、わからないものは少し置いておいて学校の落とし物いれに……。
不思議に思ったのはレゴの部品が結構ひんぱんに落ちていることで、子どもたちに聞いてみると、レゴを持っている子が案外多い事がわかりました。
そこでレゴブロックの本を購入したところ、大人気に!
棚に戻してもすぐに誰かに借りられていく人気本になりました。
落とし物から選書へ、という流れは私も初めてでしたが……。
さて、そうなると、やはりわたくし一人では掃除するのが難しくなりました。
うーん……どうしたもんか、というわけで、司書教諭の先生にご相談……。
職員室にいらした先生をつかまえて
「先生、利用者が増えてきて掃除が行き届かなくなってきているのですが……」という話をすると
「ああ、来週から掃除班が編成されるんだけど、図書館担当の児童もくるから大丈夫よ。」
とのこと。
えええ!!
清掃班が編成されるんですか!
よくお聞きすると、なんとこの学校は掃除時間に各クラス教室掃除の児童と、それ以外の場所を掃除する児童に半分ずつ分かれるのだというのです。
前の学校でも特別な場所を担当する児童がいることはいましたが、それは各クラス代表メンバーみたいな少人数だったような気がします。
でもこの学校は650人もいるので、教室以外の掃除場所をそれぞれ分担して掃除するのだとか……。
で、図書館にも担当の掃除班も割り当ててくださるのだそうです。
やっほー!!
清掃担当の先生にお聞きするとなんと各学年2名ずつ12名もの児童が来てくれることがわかりました!!
なんて、ありがたい……。「清掃班が編成されましたので、今日から掃除班の掃除が始まります。」
と職員朝礼で流れたその日に、各学年2名ずつのお掃除メンバーが来てくれました。
いまは4月で、1年生は早く帰ってしまい、この清掃班には参加していないので、5学年で10名です。さっそく自己紹介をして、掃除場所の確認を……。
うちの図書館の担当区域は図書館本体二部屋、図書館前の廊下、図書館前のトイレ、図書館前の踊り場まで、です(と書くと結構広いですね)。
掃除道具の場所と使い方を伝授、掃除の仕方の手順も説明してお掃除開始!
最初は、トイレ、廊下、踊り場、と全員でやってまわりました。
そのほうがそれぞれ早く仕上がって達成感があるのと、手順も覚えやすいですから。
のちに1年生も合流する頃にはみんなすっかりやりかたを飲み込み、1年生にテキパキ説明できるようにまでなっていました。
そうして1年生が来るようになるとこの学校の高学年は本当に優秀で、低学年は力が弱かったり手が届かなかったりするのをみて、お掃除場所の分担を上手に割り当ててくれ、本当に感心しました。
そうしてみんな、図書館の掃除を気に入ってくれたようで、掃除時間前から図書館前にスタンバってくれている人もいて、掃除時間始まりのチャイムが鳴ると同時に張り切ってお掃除してくれるのです。
この学校は先生方が率先して掃除をされるので(それも楽しそうになさるのです。はじめは驚きました)子ども達も掃除は楽しいものだ、と思っている風で、確かにお掃除に力を入れてるのは学校がとてもきれいなので気づいていましたが、掃除時間にゴミ袋を取りに行ったときに職員室をのぞいたら誰もいなかったことがあり、ビックリしたこともありました。
先生方みなさん、副校長先生もお掃除に!
いらしてるのですっ!
おかげさまで優秀なお掃除メンバーが毎日来てくれるので、図書館は昼休みまではごった返していても、掃除時間に一度きれいにしてもらって、午後の図書館は気持ちよく過ごせるようになりました。
毎日しなければならないものとは別に、図書館は週に一度、一月に一度やればいいような掃除もあります。
みんな、慣れてくると早くできるようになったので、ときどきは書庫の掃除とか、書架の棚の上の掃除とか(天井と平行なところにはどこにでもゴミがたまります)椅子を磨くとか(4本の脚の先は埃がたまります)まで、手が届くようになりました。
委員会のチームももちろん優秀で、休み時間や放課後の仕事をスムーズにこなしてくれますが、この掃除メンバーも毎日同じ人が来てくれるので、委員会同様図書館を助けてくれる力強い助っ人になりました。
なんせ毎日会うので、掃除しながら話もして仲良くなるし、いま流行りだしたゲームや、新しく始まったアニメなど、いろいろな情報も教えてくれます。
このお掃除係は一学期ごとに一度編成が変わるのですが、毎回図書館掃除に立候補してくれる子も多くて、熟練工が多い……。
そうして
「なんでも手伝うから!」
といってくれるので、 百科事典を4セット教室まで掃除メンバーにブックトラック(本を運ぶ台車です)をゴロゴロ押してもらって届けてもらったり、昔話の絵本や調べ学習用の本などを大量に教室に貸し出すときには養生テープを本の背に目印代わりに貼るのですが、そんなのも
「やる!やりたい!」
と言ってくれるので、掃除メンバーにやってもらったり……。
本当にこのお掃除係は、毎回大変優秀なメンバーに恵まれました。
たまにちょっとサボっちゃう子が来ても、優秀な高学年のお兄さんお姉さんに引っ張られて、じきに優秀メンバーに成長してしまう……。
本当にお掃除班にはお掃除を超えて手伝ってもらいました。
感謝感謝です。
2025/05/15 更新