☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・4-1】
学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない??、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~
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4-1 整備①
学校司書を始めてまもなく、まだ仕事するだけでいっぱいいっぱいだったときに、休み時間に
「空気を吸いにきた!」
と来た子がいました。
え?空気を吸いに??と最初戸惑ったものの、見ていると図書館入ってすぐのあたりでスーハー、とひと息ついて、手を振りながら「またくる!」と元気いっぱい図書館を出ていくのです。
何度かその子が来てくれるので、話を聞くと「ここに来ると気分転換できるからさ〜、休み時間に空気吸いにくるだけで元気になるから」と……。
そうか、図書館て、そういいとこなんだ、というか、そうでなくてはならないところなんだな、と、そのときものすごくショックを受けました……。
それまでは、本と書架をきちんとしておくのが仕事なんだ、としかやはり思っていなかった……。
今から考えると、わかっていたつもりで全然わかっていなかったですね。
その子のおかげで、図書館は本がきちんと揃っているだけではなくて、居心地よく、気分よく、安心していられる、落ち着く場所でなくてはいけないんだ、ということがわかったのです。
それ以降、真剣に図書館整備を考えるようになりました。
まず、すみからすみまでゴシゴシ、磨けるだけ磨きました。
蛍光灯の反射板をはじめ、天井や上の窓の縁まで。
カーテンレールのなかや(真っ黒でした)壁もです。
壁は拭いたらなんと、色が変わったのです!
全体に薄汚れていたので気がつかなかったのですが、埃がついた色になってた……。
破けたポスターや貼り紙もとにかく剥がし、拭いてもあまりきれいにならない壁や柱にペンキを塗るようにもなりました。
埃がくっついていて黒くなっている椅子や机の足の底も磨きました。
掃除用具入れも徹底的にきれいにしました。
いらないものはすべて捨てました。
幸いカーテンは洗えるものだったので(学校のカーテンは防災用なので、昔のものはドライクリーニングしかだめなのです)学校の洗濯機を借りて1枚ずつ洗いました。
これも、えっ?
と思うくらい水が黒くなったので、二回、洗うことになりました。
床も磨き、カーペットは新しいものと取り替えてもらいました。
窓も磨きました。
また、普通の仕事でもそうですが、図書館のカウンターまわりって、ちょっと油断するとすぐ紙ゴミで散らかってしまいます。
それまでは整頓するのに本が入っていたダンボール箱をそのまま使っていたのですが、それも外側に、同じ柄のきれいな布を貼りました。
必要なものはすべて入れられる場所を作り、外からは見えないようにセッティングしたのです。
子ども達に居心地いいと思ってもらえる空間を作るために、それまでは考えてもいなかった見方で図書館を見ることになりました。
でもそうしてようやく気がついたのですが、アレルギーの人や気管支の弱い人だっているんですから、子どものいるところに、埃だらけの部屋って、そもそもだめですよね。
なんでそれまでそんな簡単なことに気がつかなかったのだろう。
不特定多数の人が出入りする場所は、それなりの気配りが必要なんだ、というこの気付きは、やがてさまざまな方向に発展していくことになります。
2025/06/26 更新