かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・4-3】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない??、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

4-3 整備③

以前勤務していた学校ではいきなり2校兼務になり、どっちの学校も行けない(つまり司書不在の)日ができてしまったので、考えて、カエルのぬいぐるみを入れました。
120センチほどの大きなぬいぐるみを私が帰るときにカウンターのいすに座らせて、司書、と書いた名札を下げたところ、子どもたちに信じられないほど喜ばれたのです。
子どもたちは本当にそのカエルを司書として敬ってくれ、愚痴もいい、遊び相手にもしてくれ、本当にそのカエルは人間一人以上の働きをしてくれたと思います。
 
日本の文化では、人間も動物も神も道具もすべて擬人化されて対等になります。
ゆるキャラやマスコットが大人から子どもまで、あんなにウケるのは日本ならでは、でしょう。
そのぬいぐるみも、いろいろ試してみてそのカエルに落ち着くまでに3年ほどかかりました。
 
それから、どの学校にいってもカエル司書を置くことにしました。
はい、間違いなくカエル司書さんはわたしの心強い味方であり、かけがえのない相棒です!
 
ある時、中学年の子どもたちから「ひとりひとりにカエル司書さんがほしい」と言われました。
「どうするの?」
と聞くと
「教室に連れて行って横に座ってもらうの!」
と、何人もに声を合わせて言われ、ビックリ!!
子どもたち曰く
「いつもニッコリ笑って、そばにいてくれれば勉強頑張れるから!」
と。
そっかー、そんなにカエルさんはみんなにとって大事なんだね~、と感心しました。
 
またある時は、日曜参観(オープンスクール)に卒業生がひょっこり現れて突然
「中学校の図書館さ、大きくていいんだけど、欠点があるんだよね~」と言われたんです。
(え?何が欠点なの?)と思わず聞き返すと、
「だってカエル司書がいないんだよ!」
「ほら、小学校にはいつもいるでしょ!」って。
えええ!!!
あのカエル、そんなにあなたたちには存在感があったの?
とこちらがビックリ。
その卒業生は、図書館の常連さんというほどではなく、ときどき現れる人だったのでなおさらビックリ。。
カエル司書に抱きつきながら
「中学校にもきてほしいなぁ」
って。
そっか~。
カエル司書さん、いろんな子どもたちのことを受け止めてくれてたんだね~。
あらためてカエル司書さんの偉大な力を知りました。
 
こういうこと……ここがまずい、ということに気づき、どうすればいいかを考え、是正するやり方を思いつき実行する、ということを何年も何年もかけてノウハウを積み上げてきたのです。
司書、というのはフィールドワークタイプの学者で、どうやったら人々に本と図書館をより有効に活用してとらえるか、を研究する学者だからです。
学校の場合、ゴミも拾うし、怪我してる子がいたら保健室連れてくし、トイレだって掃除するけど!
本以前に、役職や仕事に関係なく、子どもを守る!が学校にいる大人の使命ですから。
でもそういう具体的な仕事のしかたは、どこの図書館学の本にも書いてない。
子どもに対するサービスそのものが、まだ始まってさほどたってなく、確立されたとは言い難いからです。
なので全部、自分で考え、試行錯誤しながら作っていくしかないのです。
 
そうやって学校の図書館を整備することが、子どもたちの支えになっていることを、私は日常的にひしひしと、痛いほど感じてきました。
そしたら、やるしかないでしょう。
かくいう私自身も、その図書館の一部……。
大人の感覚だと、そこに大人が一人いる、という認識になると思いますが、特に小学校、幼稚園、保育園の人たちにとっては、司書は、図書館の一部です。
たぶん、カエル司書と同等くらいの感覚なのではないかと、いつも思います。
なんていうか、いちあもそこにいる一種の妖精みたいなもので、あまり人間だとは思われてないのではないかと、ときどき思います。
自分が小さい時を思い出してみても、あまり大人を、一人の人間で、家に帰ったり、自分の子どもと遊んだりするみたいなことは考えてなかった、ような気がします。
 
なので、私のことも、きちんと整えねばなりません。
身なりはもちろんですが、
以前司書講座で言われた「(司書は)気立てよく」というのが忘れられません。
なので、できるだけ気立てよく子ども達や先生に(たまに保護者にも)対応するように心がけています。
子どもたちは、大人の顔色に敏感ですから、少し忙しくって余裕がないと、逆に気遣われたりしてしまうし。
 
放課後、遅れている作業に焦っている時でも、できるだけ鼻歌歌いながらでも楽しく穏やかに過ごすようにして。
子ども達も放課後、ふいに図書館に来たり、通りがかると覗いていくんですもの。
見られてる見られてる!
司書も図書館の環境の一部だし、居心地のためには司書さんの朗らかさ大事っ!
 
ということで居心地のいい図書館をつくるために明日もがんばりまーす!!
 
2025/07/24 更新