かん子の連載

☆楽しい学校図書館のすぐに役立つ小話☆彡【司書は椅子に座ってピッとやるだけの人じゃありません。学校司書は忙しいんです。・4-4】

学校司書の桜李桃梨(おうりとうり)さんからの寄稿をご紹介していきます。
小話とは言えない??、学校司書さんの忙しい日々をぜひご覧くださいませ~

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

4-4 コミュニケーション
 
学校には、いろんな行事があります。
入学式、始業式、終業式、運動会、発表会、鑑賞会、避難訓練など、スタンダードな行事から学校独自の行事まで……。
これ以外にも月に一度の全校朝礼などのように、ルーティン化されているものもあります。
 
あとで司書さん達の中には「司書の職務と関係ない行事には参加しない」
と、ほとんどの行事に参加しない人もいらっしゃるということがわかりましたが、私は始めから全ての行事に参加しました。
それはたまたま私が最初に赴任した小学校が、小規模校だったからかもしれません。
小規模校って、全員でやらないと仕事が終わらないんです。
先生の数も少ないし、職員室はいつも「チーム」で仕事をまわしてる感じだったので、私も自然にそのなかに加わった感じです。
 
なので赴任早々、ご挨拶やら担任発表なんかの会議が終わると、入学式のための飾り作りから仕事は始まりました。
お花紙でお花を作り、新一年生の教室にせっせとお名前シールを貼り……4月って忙しいんだなぁ、と最初のドキドキから醒めるまもなくすぐに走り回って入学式の準備に追われ 「司書の先生こっちよ!」
と呼ばれ、あっという間に、あの人が新しく来た司書さんだ、と先生がたには始業式前に認識して頂けました。
 
6月にプール開き前のプール清掃があり、デッキブラシで先生たちと掃除していて
「先生はなんでも一緒にしてくれるね~!」
といわれて、初めて、人によっては司書は先生たちとの作業をしない人もいるんだ~ということを知ったのです。
ええ~、そうなの?!
 
実は、司書採用の面接の時に
「先生方とのコミュニケーションはどうされますか?」
と繰り返し聞かれ、司書未経験でなんの実績もなかった私は
「とにかくお話しいたします」
と繰り返し答えていました。それ以外、思いつかなかったので。
 
本の読み方やストーリーテリングの講習は受け、自分なりに勉強していたつもりですが、そこの勉強では先生方とのコミュニケーションが必要なんて教わりませんでした。
ひゃ~!
そう、学校図書館って、子どもたちの読書、居場所を支えるだけでなく、学習をサポートするところなんですよね~。
なので、図書館を使ってもらうためには先生方とのコミュニケーションが必須!!
やっぱり気安く先生たちと話ができるようになっていなければ、授業支援の依頼や図書館使って授業したい、という話にはなりにくい。そこらへんの話もどこかの研修でしておいてほしかったなぁ、とあとで思いました。
 
ということで最初の学校行事の話になるんですが、学校にとって大事な行事に学校職員(学校司書ももちろん学校職員のひとりです)として、参加することって大事だと私は思います。
 
一緒に行事の準備、後片付けする中で、先生たちにまず名前と存在、ぷらす悪い人間ではない、ということを認識していただき、できれば役に立つ人間である、と思って頂くことができれば上々。
そうして何気ない会話をして親しくなるうちに、自然と図書館がらみの話になります。
「○○さんが気になってるんですけど、図書館での様子はどうですか?」
と聞かれたり
「こんな授業をしたいと思ってるんですけど、図書館使ってもいいですか?」
など。
普段忙しい先生がたにとって、行事の準備や片付けの時は、なんというか“いつもできない話をする”チャンスなのだと思います。
わざわざ図書館に出かけていって話をする時間はないけれど、何かで一緒に並んでいる、とかのついでになら、話すこともできるというものです。
なので、私はいつもメモとペンを持つようになりました。
忘れないためにも、証拠とするためにも、先生がたに依頼されたことを書き留めるためには必須アイテムですから!
 
逆にこちらから聞くこともありました。
図書館での様子が気になる子がいたり、こういう本が入りましたよ、なとどいうことをさりげなく伝えるためには、やっぱり普段のコミュニケーションが大事です。
 
しばらくすると、私が帰った後に私の机に先生からのメモ(こういう授業をするので、○日までにこういう感じの本が○冊欲しいです)などが貼られるようになりました。
多い時は何枚もー。
その学校の先生がたは、司書の使いかたをご存知だったのだと思います。なにせこちらはまだ新米なので全体の仕事もわかってはいず、なにをすればまいいのかもわかっていませんでしたから、今考えれば司書はこういう仕事をするんだよ、ということを先生がたに教えていただいたようなものです。
先生がたから言われたことはやるものだと信じて疑わず、せっせとこなしていくうちに、いろいろなことがわかるようになりました。
 
また行事に参加すると、子どもたちも喜んでくれるんです。
「先生!なんでいるの!?」と。
みんなといっしょにするのを楽しみにしているよ、というと、子どもたちに大変喜ばれるのです。
 
かなりあとになって、司書として配置されたのに学校雑務を言いつけられてまったく図書館の仕事ができなかったことがあり、それがきっかけで、司書は図書館の仕事以外はしません、と拒否するようになった歴史があるのだ、という話をほかの学校司書から聞きました。
確かに大規模校なら、仕事が手一杯で、ほかを手伝うゆとりがなかったりすることもあるかもしれません(900人も子どもがいたら、貸し出しカード作るだけでも大変だし、とにかく毎時間、図書館を使うことになりますから)。
でも、司書の仕事をさせてもらえないなんてことがいまどきあるとは思えませんし(あったらもちろん抗議して変えてもらわないとならないと思います)学校のために働くことを拒否する弊害のほうが大きいと思うのです。
こちらの顔と名前を覚えてもらうことが大事なように、こちらが先生がたの顔と名前がわかるようになることも大事だし、一緒にいろいろな仕事をすると仲良くなるし、相手の考えかたや性格もつかめます。
なによりも、一緒に働くことを拒否して図書館に閉じこもってでてこない人とは仲良くなれないし、親切にする気にも、図書館使う気にもなれないのではないでしょうか。
あの人と会うのは気が重い、と思われたら図書館も使ってくれないのではないかと思います。
もちろん、図書館優先ですが、先生がたとなかよくなることも大事ですし、学校によってできることできないこと、やらなくてはならないこと、やったらいけないこと、などは変わると思います。
 
2025/08/07 更新