かん子の連載

_/_/_/・_・)o 図書館づくりのエトセトラ・016 

この前、自然科学の棚を作ったときに
“カルガモの本が米に入っていて驚きました”
という感想をいただきましたので、これについて少し述べたいと思います。
学校と公共図書館の本は基本NDCで分類します。
でも、それだけではやっていけないところがときどきでてきます。
代表的なのは、大河で、毎年NHKで大河ドラマが始まると、どこの公共図書館も、大河のテーブルを作ります。
関係する本は、歴史、ドキュメンタリー、歴史小説、伝記、と多岐に渡ります。
関係する土地を訪ねたものは地理やエッセーになるでしょう。
つまり、通常の分類をしているとそういう本は図書館中にバラバラに置かれてしまうので、借りる側も、それをいちいち棚に返す司書もしんどい、ということになります。
大河を放送している間は返ってきたらすぐ出ていく本たちなのですから。

ランガナータンの図書館五原則の一つに
“お客様の時間を節約せよ”
がありますが、これはお客様が欲しい本をあまりエネルギーを使わずに探し出せるように努力しなさい、という意味なのです(もちろんこれ以外のこともたくさん含まれます)。

こういう
一つのテーマで
期間限定で
一箇所に集め、展示するやりかたを
「別置(べっち)」
といいます。
書店で言うなら
ブックフェア
ですね。

通常農業の中の米の本の中身は、米という作物をどう育てるか、になりますが、小学生が、米、を勉強するときにはそれ以外の、たとえば、稲作の歴史、農家の四季や風習、祭り、米によって産まれる副産物、たとえばわらの使い道、田んぼで生息する生き物たちから環境汚染、販売、海外への拠出にいたるまで、実にさまざまな本を使うことになります。
アイガモ、は通常の分類では、家禽、つまり畜産になりますが、小学校でアイガモを畜産として使うかといったら、まず使わない。
農薬を使わない稲作農業の試みとしてアイガモは登場します。

つまり
“米” 
という分類は、別置、なので、そこには米に関するあらゆる資料を集約させるのです。
文科省がカリキュラムで、米をやらなくていい、というようになれば、この項目は解散してもかまわない、ということになるのです。

2024/03/13 更新